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進まない子供のワクチン接種 5歳~11歳は「努力義務」へ 専門医の見解は

新型コロナのワクチンについて、これまで「推奨」としていた5歳から11歳の接種が、9月から成人と同じ「努力義務」になる見通しです。罰則や強制力はありませんが、同調圧力を懸念する声も上がっています。  

予約枠が埋まらないことも・・・

RKB川内信江「こちらの小児科では、新型コロナのワクチンを子供に打つことができますが、大人に比べると予約枠が埋まらないことがあるということです。それだけ子供の接種率が低いといえます」



福岡市西区にある下村小児科医院です。5歳から11歳の子供を対象とした新型コロナワクチンの接種を受け付けていますが、希望者は少なく接種率は思うように伸びていないといいます。


下村豪院長「だいたい今、接種率が2割ぐらいですかね。大人に比べると、かなり低いというところはありますね」

5歳~11歳は17.9%

「推奨」から「努力義務」へ

国の統計によると、8月29日時点で2回の接種を終えた割合を見てみると、5歳から11歳までの子供が17.9%なのに対し、そのほかの年代はいずれも70%を超えています。
下村豪院長「最近は子供同士の感染とか、子供が学校や園でもらって、お父さんお母さんにうつしちゃうというような小児感染者数が増えていますので、やはり子供の接種を進めていかないといけないのかなという風に感じています」

「推奨」から「努力義務」へ

罰則や強制力はなく、予防の観点から積極的な接種を呼びかけるものですが、保護者はどう受け止めているのでしょうか。


3児の母親「実際、新型コロナに自分たちがかかってしまって・・・、姪っ子がちょうどワクチンを打ってすぐくらいだったけど、その子だけがうつらなかったんです。だから、少しワクチンが関係しているのかなと思って。打ちたいと思います」

6歳の子供「打ちたいと思う。2回目のコロナにかかりたくないから」

5歳児の父親「努力義務というのは強制的ではないんですよね。まあ、そうですね、個人個人が判断してできればそれでいいと思いますけど、子供になんか害があったら怖いなというのはありますね」

副反応のリスクは

「同調圧力につながることを懸念」

多くの保護者が心配している副反応のリスクについて、感染症やワクチンに詳しい長崎大学の森内教授に話を聞きました。

 
長崎大学 森内浩幸教授「まれな副反応は5歳から11歳では、もっと年長のお子さんや若い大人に比べると10分の1以下であり、しかもそのほとんどが特別な治療をしなくても治っているということははっきりしてきましたので、今ではこのワクチンのメリットはデメリットを上回っている」

「同調圧力につながることを懸念」

新型コロナのオミクロン株が国内で流行してから、ごくまれではあるものの、10歳未満の子供が感染後に重症化して亡くなるケースも出てきています。森内教授は、ワクチン接種によって重症化の予防が期待できる一方で、「努力義務」という言葉が一人歩きして同調圧力につながってしまうことを懸念しています。
長崎大学 森内浩幸教授「新しいタイプのワクチンで、いろんなデマが飛び交っている中で、不安に思われるのは当然だと思います。実際に自分自身が納得して子供に接種をさせるかどうかは、十分にかかりつけの医師と相談の上で決めていただければ、それが一番いいと思います。決して、同調圧力で本当は打ちたくないというところにまで接種を進めていくというのは、長い目でみてよくないことだと思います」

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