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高齢者施設の集団感染200件超え 第6波の4倍のワケ~福岡

新型コロナの新規陽性者は、このところ減少傾向ですが、死者の数は今月に入っても1日10人前後で推移していて、そのほとんどが高齢者です。要因のひとつとされるのが、高齢者施設などで相次ぐ集団感染。今年7月以降、県内ですでに200件以上発生し、第6波の4倍近くに上っています。


◆高齢者64人が入る施設はいま
医師「診察しますよ、先生来られましたよ」

往診に出向いた医師が高齢の女性を診察しています。女性は38℃を超える熱があり、この日、抗原検査で陽性と判明しました。

ここは福岡市東区にある介護施設で生活の介助などが必要な高齢者64人が入居しています。第7波が始まった今年7月、施設内で集団感染が発生し、その後落ち着いたものの、先月中旬以降、再び5人の入居者が感染しました。

医師「あと何日間か頑張ってください。そしたら出れますからね」


◆医師は危機感「入院できない」
感染した入居者の中には、入院できずに施設内で療養を続ける人もいます。往診する医師には、かつてない危機感がありました。

よつばの杜クリニック原祐一理事長「第6波までで入院できないことはなかったんですよ。陽性になったら可能だったら入院させたいんでですね。施設内で診るっていうのもよっぽど本人が病院に行きたくないっていうケース以外は大概入院できてたんですけど、今回に限ってはできない人がいますね」


◆介護施設のクラスターは第6波の4倍
福岡県によりますと、第7波で発生した介護施設などのクラスターは少なくとも220件。第6波の4倍近くに上り、病床がひっ迫する要因のひとつとなりました。また、県内では今年7月以降、548人が死亡していて、9割以上が70代以上でした。

取材した東区の介護施設でも今年7月、90代の入居者2人が亡くなりました。

医師「痰とか咳とかは?」
職員「きのう咳はあったんですけどきょうはないです」
医師「じゃあ症状は特にないですかね?」
職員「はい。ちょっと元気がなくなったぐらいですかね」

施設内で療養する入居者たちは、たとえ症状が軽くても隔離された生活によって認知機能や身体機能が低下するおそれもあります。


◆介護と感染対策の両立課題に
介護施設の施設長「本来ならホールに集まっていろんな活動をしているんですよ。レクレーションをしたりとかしてるんですけど、少しでも(感染が)広がらないように入居者さん同士の接触も減らしてるので。どうしても部屋にこもってしまうと認知症状も出てきたりとか、精神的にも不穏になったりとかがあるので本当に申し訳ない」

介護と感染対策の両立、そこに追い打ちをかけたのがスタッフの感染です。職員4人が感染し、自宅待機となる職員も増える中で、深刻な人手不足に陥りました。


◆働き手がいない!
介護施設の責任者「いろんな対策をとって気を付けているのに症状が出るスタッフがいる。スタッフに陽性が数人出てしまうと、どうしようって・・・。感染していないスタッフで回さないといけないけど、休み時間も休めないような状態。もう働き手がいない状況ですね」

この施設で起きた集団感染は、今月に入ってようやく解消されました。新規陽性者の数は、減少傾向に転じていますが、介護施設でのクラスターは、まだ県内各地で相次いでいて、対策が急務となっています。

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