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福岡の自治体は約3分の1が半旗掲揚へ、知事は「県民に弔意求めない」~安倍元総理の国葬

弔意の表明をめぐって対応が分かれています。RKBが聞き取り調査を行ったところ、福岡県にある60の市町村のうち約3分の1にあたる19市町が、安倍元総理の国葬にあたって半旗を掲揚することがわかりました。
◆福岡の自治体は31%、佐賀は90%が「半旗掲揚」
安倍元総理の国葬をめぐって、福岡県の60市町村のうち「半旗の掲揚」を行うのは福岡市や北九州市など19市町です。大川市は役場に記帳所を設けます。

26日午後5時現在で太宰府市など3市町が検討中と話しています。また、那珂川市教育委員会は26日から28日までは公立の学校で国旗を掲揚しないことを決めています。

一方、佐賀県では20市町のうち嬉野市、唐津市をのぞく18市町が半旗を掲げます。
◆「同調圧力生むおそれ」知事の対応は? 安倍元総理の国葬には福岡県からは服部知事、福岡市の高島市長、北九州市の北橋市長らが参列します。その服部知事は26日朝「県民に弔意を求めない」と話しました。 福岡県・服部誠太郎知事
「県の行政棟の庁舎および県の出先機関の庁舎に半旗を掲揚します。やはり黙祷等の弔意を表す行動を呼びかけるとなりますと、協力とはいっても強制と誤解をされたり、あるいは同調圧力を生む恐れもあります。各個人の内心の自由を守ります」

また、佐賀県からは山口知事らが参列。27日の国葬の日は県庁に半旗を掲げるものの、記帳所は設置せず、職員に黙祷を求めることもしません。
◆賛否が分かれる世論 51%が“国葬反対” 安倍元総理の国葬に反対する声は全国で上がっています。JNNが今月に行った世論調査では国葬に反対する人は51%で賛成の38%を上回っています。

反対集会に参加した人「何でここまで反対の意見があるのに聞いてくれないんだろう、ちゃんとした説明もないから無理矢理する必要はないと思います

「岸田総理の判断は拙速だった」と苦言を呈するのは山崎拓元自民党副総裁です。戦後、総理大臣経験者で国葬が執り行われた吉田茂元総理の例を引き合いにこう話しました。

山崎拓元副総裁:
「国権の最高機関たる国会に諮らなかったことが最大のミスだと思います。十分な考慮がなかっただけどもう決めちゃったことだから、これを止めるとなれば内閣総辞職する以外ないのです。吉田茂元総理は、サンフランシスコ講和条約の全権大使として日本国の独立を回復した国家に対する大業績があったので国葬が実施されました。それを決めた佐藤さん自身も沖縄復帰の大業績がありました。それでも国民葬にとどまったのです」

安倍元総理の実績をどう受け止めるか聞きました。

山崎拓元副総裁:
「長くやったということを業績にすれば別ですけど、とりわけ、業績に値するものはなかったかと思います」
◆人の死を政治利用?法学者が危惧する理由 法学者の中には「命に序列をつける国葬は憲法の精神に反する」と考える人もいます。

九州大学・内田博文名誉教授:
「日本国憲法は人間の命を序列化してはいけないとうたっています。岸田政権は安倍さんが強力に進めた自民党の悲願と言うべき憲法改正をさらに進めていくと、そういう象徴として安倍さんを神格化する、教祖化することが今回の国葬の中に込められている気がします。このような人の死の政治利用は、生命の尊厳を逆に損ねているのではないか、賛成か反対かではなく国葬が日本のあり方、われわれ一人一人のあり方にどう影響するかよく考えることが必要です。分断国家とか対立国家ということになりかねないですから」

国葬反対の声が高まる一方でインターネット上には安倍元総理に弔意を示す「デジタル献花プロジェクト」のサイトが立ち上がりました。無料でメッセージを書き込め、26日までに約15万人が参加しています。

世論を二分する安倍元総理の国葬は、27日午後2時から東京の日本武道館で執り行われます。

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