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熱帯魚のすみかに異変 “白化” 原因は「猛暑」「台風」~海水温30℃超で深刻な状況

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今年の夏も連日「猛暑」となり、9月には「台風」の襲来が相次ぎました。こうした気候の影響は、海の中にも及んでいます。映画で人気となった熱帯魚のすみかにも異変が起きています。

玄界灘で初の異変


九州北部に位置する玄界灘。長年この海を見つめてきたダイバーは、今年ある異変が起きていると話します。
唐津マリンスポーツクラブ 浪口知記さん「おそらく玄界灘では初めてじゃないかなと思います。これだけ広範囲で白化というのは」
RKB今林隆史「玄界灘で、どのような変化が起きているのか。これから海の中を見てきます」

 

サンゴの仲間などが生息域を広げ、カラフルになっている玄界灘。映画で人気になった熱帯魚・クマノミも定着しています。
 

高水温で「白化」

RKB今林隆史「海の中でひときわ目を引くのが、このイソギンチャクです。数十本ある触手が全て白く変色しています」

高水温で「白化」

クマノミがすみかとするイソギンチャクが白化していました。サンゴやイソギンチャクは、褐虫藻という植物プランクトンと共生し栄養を得ています。この褐虫藻が海水温の上昇などで姿を消すのが白化です。玄界灘を含む東シナ海北部では、この100年で1.28℃海面水温が上昇しています。
唐津マリンスポーツクラブ 浪口知記さん「大きく様変わりしています。昔の玄界灘のイメージと明らかに変わってきています。海藻も減っていますし、サンゴは増えてきている。サンゴと海藻のせめぎあい。サンゴの勢力が強まっているなというのを感じています」

石垣島も今年「白化」が深刻

今年、白化がより深刻になっているのは、沖縄県の石垣島です。環境省の国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターによると、今年はサンゴやイソギンチャクの大規模な白化が見られたということです。
沖縄では今年、台風の襲来が遅れ表層の温かい水と深いところにある冷たい水が、中々かき混ぜられなかったため海水温が高い状態が続いていました。
環境省石垣自然保護官事務所 江川博子さん「褐虫藻にとって住みやすい環境ではなくなるのは、高水温が一つの原因になると言われています。8月に入って台風が全く来ない状態で、海水温がずっと30度を超えている状態でしたので、サンゴが白化しているのが見られています」
環境省が9月に、石垣島沖にある国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」で調査したところ、92.8%のサンゴが白化していました。大規模な白化が問題となった2016年に次ぐ規模だということです。

「サンゴからのメッセージ」

環境省石垣自然保護官事務所 江川博子さん「昔ではそこまで白化が頻発していなかったと思うので、環境がだんだん変わってきているよというようなサンゴのメッセージかもしれないですね」

沖縄だけでなく九州北部の玄界灘でも起きている海の異変。物言わぬ自然は海の中から静かにメッセージを発しています。

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