薄れる“ヤリモク”の抵抗感、「梅毒」感染爆発の背景か?「やるために出会う」症状ないまま感染も

性感染症「梅毒」の患者の広がりに歯止めがかからない。2022年の患者は全国で1万人にのぼり、統計を取り始めてから最多を更新した。要因の1つとして考えられるのが“ヤリモク”。マッチングアプリを通して、性交渉を主たる目的として出会いを求めることだ。不特定多数との性行為が“カジュアル化”していることが、感染がおさまらない背景にありそうだ。梅毒は現代医療をもって正しく治療すれば治る病気ではあるものの、気づかないまま放置すると重篤な症状に陥る。妊婦が感染すると流産や胎児の後遺症につながることもあるおそろしい病気だった―。

キスでも感染、発疹やけんたい感

手のひらや足の裏に広がる赤い斑点。性感染症の一つである「梅毒」に感染した患者の写真だ。梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因の感染症で、キスや性行為によって広がる。主な症状として、全身に発疹が出るほか発熱やけんたい感が現れることもある。日本性感染症学会の理事を務める医師によると、梅毒は自覚症状が出にくいため気づくのが遅れるケースが多いという。

日本大学産婦人科・川名敬教授「梅毒の怖いところは、症状が1回出ても勝手に消えていく潜伏期っていうのに入りますので、そうすると一見、治ったようになってしまいます。でも実は感染力があって、そこでまたうつっていることもあります」

国立感染症研究所の調査によると、今年報告された梅毒の感染者数は、先月23日時点で1万人を超え、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降で最も多い。年代別にみると男性は幅広い年代で感染していて女性は20代の割合が高い。

福岡県の感染者も今年に入りすでに428人。急増しているのは明らかだ。なぜ今、梅毒の患者が増えているのか。原因の1つと考えらるのがマッチングアプリだ。

“ヤリモク”は当たり前?希薄化する抵抗感

出会いを求めて若者を中心に広がるマッチングアプリだが、見知らぬ人と出会うため当然リスクもあります。

(Qなんでマッチングアプリしているんですか?)
女性「暇つぶし・・・」
男性「彼女が欲しかったんでその時は。とりあえず出会いだと思って」

「ヤリモク多いって聞くよね」「ヤリモクの人とか多分いるから」

取材中に、多くの若者から聞こえたた「ヤリモク」という言葉。性交渉を目的に近づく人を指す。

男性「アプリはそういう目的じゃないですか?だって会って遊ぶだけじゃないですよね。お互いにそういう目的で会ってると思うから。(Q抵抗ない?)ないと思います。だってヤるためにやっているから絶対」

男性「友人がマッチングアプリで会って性行為をして、何日後かにうみが出たりとか痛いとか。それで検査に行ったら性病にかかったみたいな」

防ぎきれない“母子感染”流産や後遺症のおそれも

妊婦の梅毒患者が増えていることも気になるところだ。妊娠している母親が梅毒に感染すると胎盤を通じて胎児に感染するおそれがあります。

川名教授「月に1人くらい梅毒の患者さんが来るようになっています。妊婦健診で見つかった方の場合、4分の3の方は無症状です。母子感染は抗生物質のお薬だけでは防ぎ切れないというところがすごく心配なところです。ここまで流行していると、コロナじゃないですけれども、いつうつってもおかしくないという意識をもって、ちょっとでもなにか変な症状があったときにすぐにちゃんと検査を受けることが一番大事です」

「先天梅毒」と呼ばれ、川名医師によると、治療を受けた母親のうち14パーセントが胎児にも感染していた。胎児が感染すると流産したり目や耳など体の発達に後遺症が残ったりすることもあるという。

気づかないとおそろしい病気 保健所で無料検査を

宮脇キャスター:
感染者が急増している一因としてマッチングアプリの影響が考えられるということですか?

RKB吉松真希:
性感染症学会で理事を務める川名教授は、「マッチングアプリの影響があるかのか、ないのかデータで示すのは難しいですが、1対1で地道に広がっていく意味では、やっぱりワンナイトですね。そういう性行動が広げる要因になっていると思います」と話しています。若い世代を取材すると、確かに性交渉目的でアプリを使用している人が多いことや、実際にアプリで知り合った人から性病がうつっている実態が浮かび上がります。

池尻キャスター:
感染しているかもしれないと思ったときはどうすればいいのですか?

吉松記者:
泌尿器科の病院やクリニックを受診するほか保健所で無料の検査も実施しています。気づかずに進行した場合には神経麻痺を起こすこともあります。川名教授が話していたように、梅毒は治療すれば治る病気ですが、胎児への影響はあります。一度検査することが大切ですね。

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