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市議会議員にこびない市長
アントニオ猪木氏の前で宣言した通り、むやみに市議らの言うことを聞かず信じた道を突き進んでいく高島氏。2期目の選挙は、自民党本部から推薦を受け、盤石とみられていた。だが、高島氏の手法を良しとしない勢力が、おひざ元の自民党市議の中にもくすぶり続けていた。午前中は高島事務所の選挙対策会議に出席していた複数の自民党市議が、夜には対立候補側と密会している姿を何度も目撃した。こうした状況の中でも高島氏は過去最多得票で2期目の当選を果たした。
通常、国会議員や自治体トップは、選挙で地方議員に頼ることが多い。選挙には人手がかかる。福岡市内に約1800か所ある掲示板にポスターを貼るだけでも大変で、組織力が重要になる。さらに支援集会は多くの人を動員する必要がある。こうした時に大きな力になるのが福岡市長選の場合だと市議会議員だ。
だが、高島氏は、議員に頼り切った選挙戦を行わない。4期目の挑戦となった今回は市議の案内を受けることもあったが、基本的には一人で街頭に立ち、マイクを持って支持を訴えていた。
政治家の仕事は「次も当選すること!?」
多くの政治家は朝や夕方、駅前や交差点などに立って、有権者にひたすら手を振って頭を下げ続ける。休みになると各地の祭りに顔を出し、運動会で来賓としてあいさつして、会合に顔を出す…そういう『顔見せ』に多くの時間を費やしている。最近、政策通と言われていた元国会議員が引退した。彼が「やっと自分の子供の運動会に行くことができるようになった」と話していたのが印象に残った。在任中は朝立ちや各種行事への顔見せに追われ、プライベートも犠牲にしてきたのだ。何より、政治家として欠かせない政策に携わる時間が無くなっていく。彼が疑問を感じていたのが、政治家の仕事として顔を売ることに重きが置かれている現状だ。一方、その対極にいるのが高島氏だ。
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この記事を書いたひと
今林隆史
1976年生まれ 福岡市出身 政治・経済などのニュース取材に加え、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。第58次南極観測隊に同行。JNNソウル特派員として韓国の大統領選挙(2022)などを取材。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。 番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」同映像祭 文部科学大臣賞(2013)など受賞。