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選挙の定番「ジバン・カンバン・カバン」は不要?
昔から選挙に勝つためには「3バン」が必要だと言われてきた。ジバン(地盤)、カンバン(看板=肩書・地位)、カバン(鞄=お金)の3つのことだ。3バンを持つ代表例は世襲議員だ。
高島氏はもともとこの「3バン」を持ってはいなかった。だからこそ、高島氏は「アナウンサーになった」と強調する。
高島氏:「自分は学生時代に選挙に出ようと思って、13年間そのためにアナウンサーもしてきた」
アナウンサーをやって手に入れたものは、選挙の強さにつながる知名度だ。高島氏は、その著書で「政治家になっても選挙に弱いと、大きな組織票を持つと言われる業界団体や政党、地元の有力者に気を遣うことになる」と指摘している。さらに「選挙への不安から、地元の祭りや運動会、地域の寄り合いにとりあえず顔を出しておくということが優先され、ほとんどの時間を『政治活動』ではなく『選挙運動』に忙殺される」という話を紹介していた。
選挙に強いことが、しがらみを感じずに思い切った政治活動を行うために欠かせないということなのだろう。実際、高島氏は運動会や各種団体の祝賀会などへの主席依頼はほぼ全て断っていると言う。祭りへの参加も自宅のある町内会だけにしている。それでも無類の強さを誇っているのは、アナウンサー時代に培った圧倒的な知名度と発信力があるからだ。
政治家になるためには?
国会議員だけでなく福岡市議会議員でも元々「3バン」を持っている2世議員が目につく。世襲が一概に悪いわけではないが、お隣・韓国では親のコネは「パパチャンス」と蔑まれ、世襲への拒否感が強い。実際、国会議長という与党の最高実力者が長男を後継指名しようとしたところ、与野党から批判が相次ぎ撤回。厳しい競争社会であるからこそ、公平さを強く求める姿が印象に残った。
では、日本はどうなのか?政治の道を志すためには、世襲以外では、高島氏のようにアナウンサーなどの著名人(タレント)になるのか、あるいはエリート官僚になることが近道となっている。こうした風潮に一石を投じているのが、当選しやすい選挙区を調べることができるウェブサイト「選挙テック」を運営している福岡市の大井忠賢さんだ。
全国すべての選挙区の情報を一人で入力。動画サイト「選挙タイムズ」では、来春の統一地方選に立候補を考えている人に、いつどのような活動をすべきかなど選挙のノウハウを伝授。「3バン」がなく著名人でない人でも、政治家を目指すことができるように支援している。
「選挙テック」大井忠賢さん:「ブラックボックス化しているというか一部の政党とか団体とかにだけノウハウがあって、一般市民にはこの選挙のノウハウがほぼないのが実情だと思う。それをどうにか解消できないかなと思っている」
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この記事を書いたひと
今林隆史
1976年生まれ 福岡市出身 政治・経済などのニュース取材に加え、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。第58次南極観測隊に同行。JNNソウル特派員として韓国の大統領選挙(2022)などを取材。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。 番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」同映像祭 文部科学大臣賞(2013)など受賞。