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政治家の涙 次のチャレンジは?
選挙戦の最後の夜、高島氏は感極まって涙を流していた。この12年間で公の場で泣く姿を見たのは初めてだった。
政治家の涙をめぐっては、今は福岡県内の自治体で市長を務めるあるベテラン政治家が国政選挙に出馬した際の出来事を思い出した。関係者から「彼は投票日の3日前に公民館で泣くよ」と聞いていたが、本当に涙を流す姿を目撃した。その演技力に舌を巻いたが、高島氏もそんな演技ができる老獪な政治家になったのか?あるいは本物の涙だったのか。
涙の直前で、九州大学大学院で共に学んだ大西一史・熊本市長が場を大きく盛り上げたのが影響したのかもしれない。同じ首長の重責を知る大西市長が「福岡だけでなく九州にとって欠かせない存在」と持ち上げたことなどで、感極まったのだろうか。
この時、高島氏は「地方から日本を変えるムーブメントを作っていく」と力強く宣言した。
高島宗一郎氏:「成功の反対は失敗ではない、挑戦しないこと。未来は絶対私達の力で変えることができる」
4期目の市長となれば大ベテランだ。老獪な政治家として過ごしていくのか、あるいは「取り戻せ元気」と叫んで駆け巡っていた初心を忘れずにチャレンジを続けていくのか。「日本一元気な街」と呼ばれる福岡市で高島氏がどのような舵取りをしていくかによって、福岡市だけでなく福岡県、さらには九州の未来が大きく影響を受けることになりそうだ。
【今林 隆史】
政治経済の取材を担当。2022年3月までJNNソウル特派員で、韓国の大統領選挙などを取材。第58次南極観測隊に同行。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。
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この記事を書いたひと
今林隆史
1976年生まれ 福岡市出身 政治・経済などのニュース取材に加え、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。第58次南極観測隊に同行。JNNソウル特派員として韓国の大統領選挙(2022)などを取材。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。 番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」同映像祭 文部科学大臣賞(2013)など受賞。