電力供給めぐる「カルテル(不当な取引制限)」専門家に聞く 九電など電力3社に課徴金

企業向けの電力供給をめぐり、大手電力会社が互いのエリアで営業活動しないよう「カルテル」を結んだとされる問題です。背景には何があったのか、今回、問題視されたカルテルについて専門家に聞きました。

電力3社のカルテル問題

九州電力、中部電力、中国電力の3社は1日、公正取引委員会から課徴金を含む処分案の通知を受け取りました。各社は、「関西電力」と企業向けの電力販売に関して、互いのエリアで営業しないようカルテルを結んだとされています。

カルテルは不当な取引制限

電力自由化の制度設計に詳しい専門家に聞きました。

兵庫県立大学政策科学研究所 草薙真一所長「旧一般電気事業者の独占状態に風穴を開けて競争を呼び込んで、電気料金を値下げさせたり、様々な顧客サービスを導入させることによって、よりよい電気事業にしていこうという政策なんですね」

2016年「全電力の小売りが自由化」

電力供給は大きく分けて、オフィスビルや大規模工場向けの「特別高圧」、中小ビルや中規模工場向けの「高圧」、店舗や一般家庭向けの「低圧」に分類されます。2016年に、これら全ての電力の小売りが自由化され、エリアを超えて電力会社が進出し顧客を獲得できるようになりました。

「公明正大に戦っていただきたい」

今回のカルテルでは、このうち「特別高圧」と「高圧」について、互いのエリアで営業しないよう申し合わせたとされています。

兵庫県立大学政策科学研究所 草薙真一所長「カルテルだけはしていただきたくなかった。大手の電力同士がそれぞれのエリアを食い合うということも、ものすごく大事な自由化導入のインセンティブだったわけでして、ぜひ受けて立つ立場になって、そして公明正大に戦っていただきたいと」

九州電力に約27億円の課徴金

公正取引委員会は今回のカルテルについて、九州電力に約27億円、中部電力とグループ会社に約275億円、中国電力には700億円を超える課徴金の納付を命じる見込みです。一方で、関西電力については、違反を自主申告したため処分を免れる見通しです。

兵庫県立大学政策科学研究所 草薙真一所長「経営全体としてしっかりと見ていくと、課徴金をどのように支払っていくのかといったことも、しっかりと見ていく必要がある。コンプライアンスというものをどれだけ重く見てるのかということを、自ら発信するということも大事なことであって、ぜひそのようにしていただきたいと願います」

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