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“注文に時間がかかるカフェ”が登場「店員が話し終わるまで待つ」のが正解

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言葉が滑らかに出ない「吃音」のある人たちは、話すことに苦手意識を持っています。一方で「伝えたいことも、話したいこともある」と当たり前の欲求も。あえてコミュニケーションが鍵をにぎる接客業を体験することで、そんなもどかしさの解消につながるかもしれません。当事者も周りも理解を深める試みとして「注文に時間がかかるカフェ」がオープンしました。  

 

ドリンクが出るまでクイズ

福岡県みやま市に12月3日の1日限定でオープンしたカフェ。店名は「注文に時間がかかるカフェ」です。
店員「私たちはみんな、話すことに少し時間がかかったり、時が止まったように見えると思うんですけど、ちゃんと伝えたいこともあるし話したいこともあります」

接客を担当するのは「吃音」のある若者たち。マスクに来店客へ伝えたいメッセージを書き込んでいるのは、大学1年生の平田蓮太郎さんです。「いらっしゃいませ!お飲み物をお伺いします!」イメージトレーニングの最中です。
平田蓮太郎さん「(緊張していますか?)緊張しますよ、そりゃ。お客さんに緊張というよりカメラへの緊張が大きいです
特に決められたセリフはなく、それぞれが言いやすい言葉で接客します。ドリンクの待ち時間は、吃音に関するクイズを出して和やかな雰囲気にします。
クイズを出す店員「吃音がある人が話すのに時間がかかっている、どうする?」 「話終わるのを待つ!」 クイズを出す店員「正解です」

自分も『吃音』勇気をもらえた

平田蓮太郎さん「お客様が優しかったし、初対面の人と話すのが楽しくて貴重な経験でした。人生のモチベーションになります」
このカフェを企画した東京都の奥村安莉沙さんは、幼い頃から自分の名前も言えないほど症状が重かったといいます。
奥村安莉沙さん(30)「10歳の頃からカフェの店員さんに憧れていましたが、吃音が重くて人と話すのが難しいと諦めて大人になったんです。転機は25歳の時。オーストラリアに留学し、障害のある人たちと一緒にカフェで接客したことでした。同じ悩みを抱える人たちの力になりたいとカフェを全国7か所で開いています。吃音で一歩踏み出せない若い人たちがたくさんいると思うので、自信をつけてほしいです」
来店客の男性「自分も吃音を持ってるんですけど、同じような環境の方ががんばっているのを見ると自分もこういう機会があればと思っています。勇気をもらえたので、来て良かったです」
来店客のカップル「理解する側がもっと理解できれば、いろんな人が活躍できる世の中になると感じました」

100人に1人が吃音、トレーニング教室も

「カレーライス♪牛乳♪」
リズミカルな音楽が流れるのは、「吃音」のある人たちのトレーニング教室です。福岡県宗像市で11月に開かれたこの講座には、4歳から21歳までの7人が参加しました。音楽に合わせて体を動かしたあとに言葉を滑らかに話す練習をします。最後は1人ずつ自己紹介ができるようになりました。
参加者「リズムに乗せて言葉を発することでこんなに解消できるのかとびっくりしました。感謝してもしきれないですね」
放課後等デイサービスかのん・永吉佳美さん「音楽を用いて話すとより話しやすくなります。歌の抑揚やリズムがあって緊張感が抜けるのです。困っているお子さんたちに役に立てるようなことをやりたいですね」

日本では100人に1人いると言われている吃音ですが、まだ理解が十分とは言えない状況です。相手を思いやり話しやすい状況をつくることが支援の第一歩です。

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