PageTopButton

福岡市地下鉄の延伸で起きている“ホテル進出”“地価上昇”新駅開業まで100日

福岡市の地下鉄七隈線は、西区の橋本駅から天神南駅までつながっていますが新たに天神南駅から博多駅までの約1・4キロの延伸区間が来年の3月27日に開業し、運行を始めます。開業まであと100日となった12月17日、延伸区間に完成した地下鉄の新しい駅が一般公開されました。駅の中はまるで資料博物館のようなつくりです。

◆「歴史資料館」のような新駅
地下鉄七隈線の延伸区間に新設された「櫛田神社前駅」。駅のシンボルマークは櫛田神社の「銀杏」の葉と、山笠の「舁き縄」を組み合わせたデザインとなっています。内装は櫛田神社の大イチョウをイメージした木目柄の天井を採用しているほかコンコースには観光客などに楽しんでもらおうと展示スペースを設けました。博多人形や博多織など地元の伝統工芸品、約75点を常時飾っているほか壁面には博多祇園山笠をイメージしたアート作品も描くなど歴史資料館のようなつくりとなっています。

福岡市・高島宗一郎市長「福岡博多の伝統・歴史を感じていただけるエリアですから、この駅で降りてみようかな、散策してみようかなという気持ちになっていただけたらいいなと思っています」

新しい駅は地中熱を利用した空調設備を導入するなど環境や省エネに配慮しているほか人にも優しい最新の技術を取り入れています。

RKB原口佳歩「駅のエレベーターです。近づくだけで(ただいまエレベーターをお呼びしています)何もボタンに触れることなくホームに来ることができます」

地下鉄の駅に初めて導入されたタッチレスの自動運転エレベーターです。センサーが人を察知し、ボタンを操作せずに乗ることができるため視覚に障害がある人や車椅子の人、幼い子供を連れベビーカーなどを利用する人はとても便利です。

福岡市・高島市長「利用する方が増えてほしい。延伸で博多まで直接行けるようになるので渋滞解消と西南部の活性化に期待しています」

◆一歩先に市民が「見学会」
市民を対象とした見学会も開かれました。普段、七隈線を利用する人たちからは延伸開業を歓迎する声が聞かれました。

城南区の市民「天神南で終点だから乗り換えてというのがなかなか難しくて、すごく便利だと思います」

七隈線の利用者が博多駅や福岡空港へ行く場合、天神南駅から徒歩で約600メートル移動し空港線の地下鉄に乗り換える必要があります。延伸区間が開業すれば乗り継ぎなしで移動できるため所要時間はこれまでよりも約14分短縮されます。橋本~博多42分から28分に六本松~博多26分~12分にまた、交通渋滞の緩和も期待されています。七隈線の延伸を受けて西鉄は福岡市内の路線バスの減便を検討しています。七隈線の沿線から博多駅へ通勤・通学している人などバスの利用客の一定数が地下鉄に移るとみられることから西鉄は、今後の需要を予測した上で、具体的な減便の本数や路線を決める方針です。

◆街が発展して地価上昇中
七隈線の延伸は交通の利便性に加え商業施設やマンションなどまちの発展や地価の上昇にもつながっています。

RKB三浦良介「櫛田神社前駅のすぐ目の前には西鉄の新しいホテルが建設中です」

「櫛田神社前駅」から歩いて1分、西鉄の新しいホテルは七隈線の開業にあわせ来年4月にオープンします。大浴場やテラスを備えた地上13階建てのホテルで、開業特別プランも用意しています。

西鉄ホテルズ・松岡恭美総支配人「博多駅・天神エリアからも便利になるので、ビジネス客やインバウンドのお客様も道に迷わずに来ていただけることは喜ばしいことです」

新しい駅は天神と博多駅のちょうど中間に位置し中洲からも近い場所にあります。延伸工事が決まって以降、駅の周辺ではホテルのリニューアルや新規オープンが相次ぎました。古くからある観光スポットもまちのにぎわいに期待を寄せています。

櫛田神社・高山定史さん「参拝者のアクセスが良くなったということですごく嬉しく思います。県外の方も櫛田神社前ということですごく分かりやすいので参拝者の方が増えるのを期待しています」

◆キャナルシティ博多のアクセスも改善
櫛田神社前駅が完成すれば、キャナルシティ博多へのアクセスも良くなります。新しい駅のすぐそばにあるキャナルシティ博多は七隈線の延伸開業に合わせてイーストビルと直結する新しい出入り口を整備しています。さらに飲食店などを巻き込んだイベントも計画中で、七隈線沿線に住むファミリー層や福岡大学の学生など新たな客層の獲得を目指します。

エフ・ジェイエンターテインメントワークスキャナルシティ博多事業部・溝口尊子さん「今までキャナルシティ博多にあまり立ち寄らなかった方の利用が増えるのではないかと考えております。天神・博多の回遊性が上がるので街全体の活性化にもつながるのではと期待しています」

福岡県内の住宅地で上昇率がもっとも高かったのは、六本松駅から徒歩圏内の福岡市中央区輝国2丁目の地点でした。前年より12.9%も上がっていて、専門家は延伸により需要が伸びていると分析しています。不動産会社によりますと七隈線の沿線にあるマンションや戸建て住宅はここ数年、特に人気が高く、価格も上がっています。この状況はしばらく続くとみられています。

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう