PageTopButton

「憲法と防衛」を考える 高まる“改正”論、「戦える自衛隊」発言も~5月3日は憲法記念日

5月3日は憲法記念日です。JNNの世論調査によると、日本国憲法について「改正すべき」と答えた人は48%、「改正すべきではない」は35%でした。「改正すべき」と答えた人にどの項目を改正すべきか聞いたところ、最も多かったのは「自衛隊を憲法に明記するなど憲法9条の改正」で42%でした。佐賀空港へのオスプレイの配備計画が本格化するなど、九州でも防衛力強化の動きが加速しています。防衛と憲法のあり方について考えます。


◆佐賀空港へのオスプレイ配備計画
佐賀県有明海漁協南川副支所 田中浩人さん「3分の2以上でしたら私も賛成です。決定事項と思ってますので」

佐賀空港への陸上自衛隊輸送機オスプレイの配備計画。地権者でつくる協議会は、賛成多数で国に土地を売却することを決めました。南西諸島の防衛力強化を背景に進められてきたオスプレイの配備計画が本格化しています。


◆「どうしても理解に苦しむ」
地権者の一人、古賀初次さんです。駐屯地として整備されるのは、かつて海だった干拓地です。

古賀初次さん「ここで、じいちゃん親父たちが魚をとって生活していた。ばあちゃんお袋がその魚を売って商いをして、その姿を見て育ったので、ここには愛着があってね」

戦後すぐに生まれ育った古賀さん。戦争で叔父を亡くしています。

古賀初次さん「戦争の悲劇は叔父ばかりではなく、母方も2人3人戦死。戦争は良いこと一つもないでしょうが、悲しいことばかりで。ここが軍事基地になるということは、どうしても理解に苦しむ」


◆自民党 麻生副総裁「戦える自衛隊」
こうした地域住民の思いをよそに、政府は防衛力の強化に舵を切ります。自民党の麻生太郎副総裁は、台湾有事などを踏まえ今後の自衛隊のあり方を「戦える自衛隊」と表現しました。

自民党 麻生太郎副総裁「憲法改正をやらねばならんとか、できることは一つでも早くやっておかねばならん、戦えるようなシステムに変えておかねばならん、一つずつ確実に現実的なものにしていかねばならんのが政権与党の仕事」

政府が去年12月に閣議決定した安全保障関連三文書でも「反撃能力の保有」が記載されました。安保関連3文書の中で敵のミサイル基地を直接たたく「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換えて保有することを記しています。

福岡県選出の鬼木誠前防衛副大臣は、こうした能力の保有は「防衛の範囲」と説明します。

衆議院安全保障委員長 鬼木誠前防衛副大臣「あくまで防衛の範囲の運用であるべき。周辺諸国の能力が飛び抜けて日本を超えつつあるので、日本もそれなりに防衛能力を持っていないと危ないという状況にある。これを放っておいてその差を広げて安全ということはない」


◆“警鐘を鳴らす” 元自民党副総裁
一方、こうした政権与党の進め方には、防衛庁長官などを歴任した元自民党副総裁も警鐘を鳴らします。

山崎拓・元自民党副総裁「敵基地攻撃という言葉を使わなくなった。それは憲法違反のおそれがあるから使わなくなったと思う。現行憲法のままで、いろいろ軍事力を増強するということであれば、専守防衛の能力を高めるということにしなきゃならないが、敵基地攻撃能力となればそれ(専守防衛)を超えるんじゃないか」


◆「風化してきたと痛感」
現在の日本の安全保障政策について、専門家は次のように指摘します。

元内閣法制局長官 阪田雅裕弁護士「外国を直接攻撃する装備、そういうことができるような能力を備えることは、こちら側では抑止に役立つと言うかもしれないですけど、よその国から見ると攻撃の脅威にさらされるというわけですから、平和主義の国家だという主張は国際的には通用しないだろうと」

国家安保戦略の改定によって、戦争を放棄した憲法9条は「形骸化」していると説明します。

元内閣法制局長官 阪田雅裕弁護士「憲法9条は先の侵略戦争の反省を踏まえて作られたものだった。外国に脅威を与えないというのは我が国自身の反省でもあり、周辺諸国に対するお詫びの気持ちも込められたものだった。そういう歴史が我々の世代にとっては風化してきたと痛感しますね」

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう