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繰り返すかゆみや湿疹~根本治療のために見つめ直したい5つのこと~

暮らし

大賀薬局

湿疹やかゆみがあり、塗り薬や飲み薬を使い、治療を続けているけれど、症状が落ち着いたり、悪くなったりの繰り返しで、なかなか治らないというケースをよくききます。

このような場合、現在出ている症状をしっかりとおさえていくと同時に、その症状の原因を改めてきちんと考察していくことが重要です。

原因の究明は当然のことだと思われがちですが、繰り返す皮膚疾患の原因は、複雑で多岐にわたり、はっきり判明しないまま治療を続けているケースも多々あります。

もし短期的な症状の原因が、接触性の「外的要因」や、食べた物による「内的要因」など、すぐに判明して対処をしていたとしても、思うように改善が見られないのであれば、長びく原因をひも解いていかなければなりません。

今回は長引く湿疹やかゆみの原因を解明するチェックポイント、根本から治すヒントを紹介します。

進行する症状をおさえる「標治」と根本的に治す「本治」を同時進行で

東洋医学や漢方の治療の考え方の中に、「標治」と「本治」という言葉があります。

「標治」とは、いま表面にあらわれている辛い症状に対して治療を行うこと、「本治」とは、その症状の根本的な原因に対して改善や治療を行うことを指しています。

「標治」は〝対症療法″、そして「本治」は〝根本療法″のようなイメージで捉えると分かりやすいと思います。

なかなか治らない皮膚疾患等の症状においても、今もっとも辛い症状に対する「標治」と、症状の原因をきちんと捉え、その根本的な治療に取り組む「本治」の同時進行がとても大切だと考えます。

根本的な治療「本治」へのチェックポイント5

接触性や脂漏性、菌やカビ等々、皮膚疾患の原因が分かっている範囲で、薬による対処を講じているにもかかわらず、症状が長びいたり繰り返してしまう場合には、以下のポイントをチェックしてみると、「本治」(根本療法)への手掛かりとなるかもしれません。

【ポイント1】『過度なストレスや睡眠不足、そのままにしていませんか』

ストレスが続くと、自律神経の乱れや免疫の低下を引き起こして、皮膚炎やかゆみを増長させてしまうことがあります。
さらにストレスは脳内のかゆみを感じる神経を刺激したり、皮膚の赤みやかゆみの原因となる〝ヒスタミン″という物質の放出を増加させたりするとも言われています。
また睡眠不足は、体を潤している水分を減少させてしまうため、熱を生みやすく、皮膚炎を長びかせたり、肌のバリア機能を低下させたりする原因にもなります。

この2つは心身の他の面にも関わることなので、できる範囲で改善していきましょう。

【ポイント2】『偏った食生活になっていませんか』

脂っこいものや辛いものなどの刺激物をよく食べていると、血が熱を持ちはじめて、皮膚病が悪化して治りにくくなってしまいます。長びく症状の根底には、普段からの偏った食事や過食などが関与している事例が多く見受けられます。

甘いものやナッツ類を食べ過ぎると、すぐに吹き出物が出来る人がいることからも分かるように、食べ物は皮膚の状態に大きな影響を与えます。刺激物や糖分をとりすぎず、野菜やタンパク質などバランスよく取り入れた食生活を目指しましょう。

【ポイント3】『内臓の不調、疾患はありませんか』

〝皮膚は内臓の鏡″という言葉があるように、内臓のどこかに疲労が生じていたり、弱っていたりする状態が続くと、すぐに皮膚に反映されてきます。

特に胃や消化器系などが弱ると代謝機能が低下し、体に熱がこもり、皮膚にまで上昇して赤みやかゆみを生じることがあります。肺や心臓が弱っている場合には、皮膚に必要な水分や栄養が届かず、乾燥がひどくなったりします。

ちなみに、西洋医学の分野では、内臓疾患によりあらわれる皮膚の病変を〝デルマドローム″と呼んでいて、皮膚の状態の変化を見ながら、いち早い内臓の病気の察知につなげています。
内蔵の不調を感じたら、調べてもらうのもひとつの手段です。

【ポイント4】『長い期間、同じ薬を使い続けていませんか』

毎日ずっと薬を塗り続けているけれど、最近なかなか湿疹が治まらないと感じている人は、ステロイド等の長期連用による副作用で皮膚が薄くなり、赤みやかゆみを引き起こしている可能性があります。

体の状態の変化や治療の進行状況に合わせ、薬の量や種類も変えていくことが大事です。
再度、病院の先生や薬局に相談し、現状をしっかりと伝え、適切な処方の指導とアドバイスを受けてみられてはいかがでしょうか。

【ポイント5】『入浴やシャワーでの洗い方、入浴後の薬を塗るタイミングをチェック』

入浴やシャワーの際に患部を過度に洗いすぎていませんか。
患部を清潔にするのは良いのですが、擦り過ぎることで、治ろうとしている皮膚に過度な刺激を与えていたり、皮膚のバリア機能を保つのに必要な皮脂膜までも、洗い落としてしまっていることがあります。

また、入浴後に薬を塗るタイミングもチェックしましょう。清潔なうちにと、入浴後すぐに薬を塗る方も多いですが、炎症がある皮膚がいつもより温まって過敏になっていることも考えられます。少しだけ時間をおいて、体温が落ち着いてから塗るように心掛けるだけでも、薬の効果が変わってくることもあります。

季節や土地柄、体質の考慮と生活習慣の見直しを

上記のような、様々な皮膚疾患の引き金となる項目の検証に加えて、東洋医学や漢方では、季節や時期、住んでいる土地の気候や生活環境、年齢や体質などが症状の原因に関与していることを考慮しながら薬の選定や治療を行っていきます。

これは「三因制宜(さんいんせいぎ)」という治療の法則です。

三因とは、「時(季節や時期)」、「地(生活環境や気候)」、「人(体質)」の三つを意味しています。「宜」というのは、料理のレシピなどに使われる「適宜」の宜、適切な治療を施すことを指します。

こうした季節、生活環境や体質の違いを、しっかりと念頭に置きながら、それぞれの体質にあわせた治療を続け、生活活習慣の見直しや改善を行っていくことが、繰り返す湿疹やかゆみの軽減や、難治の皮膚疾患などの原因の究明につながっていくと考えています。

各人にあわせたカウンセリングを行う薬局や病院で、症状の改善や緩和に適した処方をうけてみられることもおすすめします。

諦めないで、湿疹やかゆみをしっかり治していきましょう。

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この記事を書いたひと

大賀薬局

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福岡市博多区に本社を置き、ドラッグストア、調剤薬局などを展開する。創業、明治35年(西暦1902年) 。健康に関する様々なコラムを展開しています。