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広島からやって来た、ロックな屋台風鉄板焼き酒場

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粉ものは何でも好きで、一番なじみがあるのはやはりお好み焼きでしょうか。子どもの頃は主に関西風を食べていましたが、学生の時、広島出身の友人が作ってくれたお好み焼きに衝撃を受けました。実家から持ってきたという「マイ鉄板」をガスコンロに乗せ、キャベツともやしを山盛りにした薄い生地を鮮やかなヘラ使いでひっくり返す妙技は今でも忘れられません。当時は九州で手に入らなかった「オタフクソース」の味も感動的で、それ以来、お好み焼きといえば広島びいきです。

童童外観

そんな「お好み党広島派」に絶大な人気を誇っているのが、薬院駅近くの三角市場にある「童童」です。決して広島“風”ではなく、本場広島から店ごと移転してきたというから間違いありません!

童童メニュー

店内は鉄板のまわりに設えられたカウンター席のみで、まるで屋台のようなレイアウト。壁に手書きされた黒板メニューも一見すると普通の鉄板焼き居酒屋のようですが、よく見ると「広島名物」と書かれた見慣れない料理があります。

童童料理1

まず注文したのが、広島名物の「コウネ焼」(1.078円)。店主の遠藤祐司さんに聞くと、「広島ではよく食べられている牛の前足の付け根にあたる部位です」とのこと。塊だとスネ肉のように硬い部位ですが、極薄にスライスして鉄板でサッと火を通すことで、ふんわりと柔らかい仕上がりに。塩コショウだけのシンプルな味付けで、脂身のうまさを引き出しています。

童童料理2

初めて聞く「ガンス」(495円)にいたっては、まったくどんな料理か想像がつきません。「広島でも一般的になったのは15年ほど前からですね」と、焼きたてにマヨネーズと一味唐辛子を添えて出してくれました。一口かじると外側はサクッとした食感に中身は魚のすり身と玉ネギで、唐辛子が練りこまれているのがアクセント。玉ネギの甘みの後にピリッとした辛味が感じられて、ビールによく合うおつまみです。

童童料3

メインのお好み焼きに大量にキャベツともやしを使うため、野菜は大分県大山町の農協が運営する直売所「木の花ガルテン 野間大池店」で買い付けを。「いいものはすぐ売り切れてしまうので、開店時間に行っています」と、新鮮な無農薬野菜を厳選しています。
「豆苗チャンプルー」(748円)は遠藤さんのオリジナルメニューで、サッと炒めた豆苗に豚バラを合わせ、広島・石本農場の卵で和えたもの。独特の青くささがある豆苗ですが、卵の甘みでマイルドな味わいとなり、ペロリと食べられる逸品でした。

童童料理4

遠藤さんは広島市の出身で、23歳の時にお好み焼きの出前専門店を開店。その後、鉄板焼き居酒屋に業態変更して足かけ21年にわたって営業した後、「福岡が好きすぎて」と8年前に移転してきました。当初は知り合いもおらず苦戦したといいますが、持ち前の明るいキャラクターと本場仕込みの鉄板焼料理が徐々に評判となり、今や連日満席の人気店となっています。

そんな遠藤さん入魂の「お好み焼」(935円)は、子どもの頃から食べていたという定番のド直球。薄く広げた生地に魚粉、キャベツ、もやし、イカ天、豚バラを乗せ、返した後はじっくりと蒸し焼きにすることで野菜の旨味を引き出します。茹でた特注麺と卵に乗せて、仕上げに青海苔とゴマを振り、ミツワソースをかけて完成! まさに王道ともいうべきお好み焼で、アツアツをハフハフいいながらあっという間に完食です。

童童大将

若い頃はロックバンドのボーカルだったという遠藤さん。マイクをヘラに持ち替えた今もノリの良さは変わらず、カウンター内でエンターテナーぶりを発揮してくれます。ミュージシャンや音楽関係の常連客も多く、カウンターで音楽談義に花が咲くこともしばしば。かといって決して常連客だけで盛り上がるのではなく、一見客にもフレンドリーな接客はまるで屋台のような雰囲気です。福岡で本場広島の味を楽しみたければ、まずここへ!

童童店内
店舗名:童童(ワラベ)
ジャンル:居酒屋、お好み焼き
住所:福岡市中央区渡辺通2-3-33
電話番号:092-781-3370
営業時間:17:00~OS22:00
定休日:日曜
席数:カウンター12席
個室:なし
メニュー:キューリのたたき418円、ガンス495円、豆苗チャンプルー748円、コウネ焼1.078円、とんぺい焼748円、やきそば770円、お好み焼935円~

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この記事を書いたひと

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