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海外も注目!新たな布・奄美布の魅力

5月、イタリアの高級車メーカー・フェラーリが日本の伝統工芸や匠の技術を取り入れた特別仕様車を発表した。この車のフロアマットやシートに使われているのは鹿児島県奄美大島の小さな工房で織られた「奄美布」という布。
奄美布は、有限会社はじめ商事・元允謙代表取締役(41)が生み出した。8代続く大島紬の織元で、元さんは大島紬の伝統工芸士。最高峰の絹織物と評される大島紬を長年扱ってきた。実は、奄美布の材料は、主に着られなくなった大島紬の着物たち。解体して布に戻し、5mm幅に裁断。これをヨコ糸にして、大島紬の機で織り直して奄美布を作っている。

「奄美布は、大島紬の伝統を後世に残すためのひとつの手段。」
今大島紬が置かれている状況は厳しい。2021年の生産量は戦後のピーク(1972年)の約1%まで落ち込んだ。伝統の道具を絶やしたくない、職人たちに新たな仕事を与えたい、そんな元さんの思いから生まれた奄美布。
様々なカラーバリエーションを持つため、元さんは財布やバックなどの小物に加工。フランス・パリを拠点に活動するデザイナーは、奄美布でジャケットを製作している。そして、イタリアの高級車メーカー・フェラーリも…。人々を惹きつける奄美布の魅力に迫る。
取材先:有限会社 はじめ商事
住所:鹿児島県奄美市名瀬有屋町30-1
電話:099-52-1741
HP:https://hajimeshoji.com/

編集後記

「うわ~、すごい!」
取材中、私は職人たちの手仕事にずっと驚いていました。

図案に合わせて染めた糸を織り上げて作る、大島紬。
タテ糸とヨコ糸が合わさり模様が生まれる様子は見ていてとっても気持ちがいいのです。

奄美布を作る過程を撮影している時もそうでした。元さんが織っていくと、なんとも不思議な色合いの布が出来てくるのです。角度を少し変えるだけで、青色っぽく見えたり…、赤色っぽく見えたり…。

こんなにワクワクした取材は久しぶり!と思うのと同時に奄美のモノづくりの伝統が長く続いてほしいと強く思ったのです。

アメリカ・ニューヨークにも織り機を持って行っていくほど、アグレッシブな元さん。従来の枠から飛び出し、挑戦する姿を中学3年生の息子が「尊敬している」と話してくれたのが印象的でした。

奄美のモノづくりの情熱は、きっと次世代に引き継がれていくはず。

(MBC南日本放送 / 丸峯 加菜子)

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