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高宮の隠れ家で熟成魚と関東焼鳥のコースを思う存分に

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西鉄平尾駅から高宮駅へと向かう高宮通りの道すがら。ビルとビルに挟まれた細長い小径に敷石が置かれ、奧にはほのかな灯りに照らされた玄関口が見えます。注意しなければうっかり通り過ぎてしまいそうな場所にあるのが、焼鳥と熟成魚の店「木崎」です。玄関で靴を脱いで店に上がると、畳敷きの部屋に掘りごたつ式のカウンターとテーブル2卓のこぢんまりとした造り。まるで友人の家に招かれたような、気のおけない雰囲気です。

木崎外観

店主の宮川優さんは16歳の時から料理の修業に入り、寿司屋を皮切りに和食店や焼鳥屋など様々店で20年以上経験を積んできた料理人。その中で培ってきた知識と技術を注ぎこんだ熟成魚と焼鳥のコース料理のみを提供しています。

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自家製の熟成庫から取り出した魚を下ろしながら、「獲れたての魚はまだ魚体に旨味がまわっていないんですよ」と、宮川さん。玄界灘に面した福岡では獲れたての魚が珍重されますが、魚種によって氷温で数日から数週間、マグロなどは1ヵ月以上も寝かせて熟成を待ちます。その間にタンパク質がアミノ酸に変化することで、美味しさが増すといいます。
難しいことはさておき、食べてみればその違いはすぐに解りました! 済州島で獲れたサバを1週間寝かせて炙った切り身はねっとりと柔らかく、コリコリとした歯ごたえとはまったく別次元の食感。百聞は一食にしかずとはこのことです。薄造りにしたカワハギにはウニやホタテのエキスをブレンドした自家製キモ醤油を合わせ、旨味を重ね合わせています。

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魚をただ熟成させるだけではなく、調理法にも工夫があります。北海道産の水タコは2週間寝かせた後に低温調理でじっくりと火を入れた柔らか煮で。心地よい歯ごたえに、添えられた海苔の風味が香ります。また、元寿司職人の宮川さんだけあって、魚の種類によっては握り寿司も登場します。この日はホタテと赤ムツの炙りの握りでコースに変化をつけてくれました。

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料理人として豊富な経験を誇る宮川さんですが、魚の熟成についてはほぼ独学だそうです。「魚体の大きさや状態を見極めながら、どれくらい寝かせるのが良いのかを判断しています。これが正解というものはないので、日々勉強ですね」。魚の締め方や血抜きによっても変わってくるため、魚の仕入れは目利きに信頼の置ける仲買人に限定しているといいます。

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「料理に対して真摯な態度で向き合うのが、お客さんに対する料理人の気持ちです」と、宮川さん。そんな気持ちのこもった料理が、タラの白子の炙り、煮穴子、播磨灘産の一年牡蠣の茶碗蒸しと続きます。どれも素材の良さを最大限に引き出す熟成法・調理法で、今まで食べたことのない初めての食体験でした。

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コースの前半で熟成魚をひとしきり堪能した後は、お待ちかねの焼鳥の登場です。朝締めの宮崎産ハーブ若鶏を丸ごと一羽捌き、炭火でじっくり火を通す焼鳥は5本ほど。むね肉にフレッシュな香りを添えたワサビ焼きに始まり、ハツ(心臓)のタレ焼き、ベンケイ(スネ肉)などの希少部位に、ギンナンやスナックエンドウなどを織り交ぜながらテンポ良く出てきます。備長炭による火入れ加減も絶妙で、新鮮な鶏肉のジューシーな旨味にあふれています。

木崎08

中からトロリと黄身が溢れ出す半熟うずら玉子も名物の一つ。白ネギをむね肉で巻いたネギマや、ハーブ鶏の様々な部位を捏ねたつくねまで、クオリティ、ボリュームともに心から満足することができました。

熟成魚、焼鳥に合わせた日本酒の品揃えも充実していて、それぞれに合わせたペアリングを楽しむのも一興です。「おまかせコース」(6,600円)は当日でも注文できますが、人気店なのでぜひ予約を。

店舗名:木崎
ジャンル:海鮮料理、居酒屋、焼鳥
住所:福岡市南区高宮3-10-3-1
電話番号:092-981-1959
営業時間:17:00~入店22:00
定休日:日曜
席数:カウンター5席、座敷8席
個室:なし
メニュー:おまかせコース6,600円
URL:https://www.kizaki0223.com

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この記事を書いたひと

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