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福岡で食べる”1万円アンダーの至極の寿司コース”|食の専門サイト”UMAGA”セレクト

自由度の高さが魅力!熟練職人が目指す“古き良き寿司屋” すし土井

ここ数年、福岡グルメ界で注目を集める高級寿司店の台頭。東京でも評価される店々が、このジャンルをネクストステージに導いたのは間違いないでしょう。が、庶民に寄り添う昔ながらの町寿司も頑張っています。とくに2020年1月に暖簾を掲げた「すし土井」は、どんなシーンにも対応する自由度の高さが魅力。僕もご贔屓の一軒です。

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「すし土井」が入居するビルは地下鉄祇園駅と呉服駅のほぼ中間。大通りから離れ、冷泉公園も近いせいか、穏やかな空気を感じるロケーションです。階段を上ってドアを開けると、まずはカウンター席、その奥にテーブル席が見えました。続いて「いらしゃいませ!」の快活な第一声。つけ場に目をやると、店主の土井公司さんが人好きのする笑顔を浮かべていました。

「時間がなければ寿司2~3貫の注文でも結構ですし、逆に焼物や刺身だけという使い方でも構いません」と土井さん。「どんな要望にも応えることが、私の目指す“古き良き寿司屋”の矜持だと思うので」。そう、この大らかさこそ僕が「すし土井」に魅せられる一番の理由なのです。
さて、メニューにコースはないものの、2名以上の事前予約で「おまかせ」(1人前8,000~)が注文可能。今宵は小鉢・刺身・料理・にぎり7貫+αの8,000円を頼みました。

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刺身はマグロ、ヤリイカ、タイ、地ダコ、そして夏の味覚=ハモの5点盛り。近海の天然ものにこだわり、信頼の置ける柳橋の魚屋から仕入れるという鮮魚はどれも出色のうまさでした。

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これに続く料理は、ボリュームある白身をふっくら焼きあげた太刀魚です。前日に塩を振って水分を抜き、自家ブレンドの若狭地を塗って焼きあげる──という手間をかけたプロセスが盤石の美味を生んでいます。アテとしても秀逸で、進みすぎる酒杯に気が抜けません(笑)。

その後はいよいよ握りが登場。1貫目の対馬産のアラは、4日間寝かせて十分に甘みを引き出した逸品です。ねっとりした中にも快い繊維質を残す食感には思わず唸ってしまいました。
が、食感の良さという点ではこの中トロも譲りません。空気をたっぷり含んだ微粒子のように、口の中でスッと消える舌触りはまさに夢心地です。

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「今日は良い青魚入ってますよ」「じゃあそれ握ってもらおうかな」──そんな昭和のドラマで見たような、人間くさい“古き良き寿司屋”の伝統を継ぐ「すし土井」。短時間の滞在に寛容な懐深さも含め、僕はこの店を“店屋町のオアシス”と呼びたいと思います。寿司屋に不慣れな若い皆さんもぜひ!

「すし土井」の詳しい情報はコチラ

店主は元「なだ万」寿司部門長。上質な寿司体験をもっと気軽に! 鮨 藤よし

2020年4月に春吉で暖簾を掲げた「藤よし」。「なだ万」グランド・ハイアット・福岡店の寿司部門長が独立した店ということで、開店直後からチェックしていた寿司好きも多いのではないでしょうか。そんな確かな実績の持ち主が、年々高級路線をたどる福岡寿司界にあって、1万円以下のコースを置く“庶民派寄り”の店を構えたことも僕にはちょっとした驚きでした。

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渋いジャズボーカルが流れる8席の空間が待っていました。存在感たっぷりのカウンターは銀杏の一枚板。壁面を覆う品の良いゴールドは実際の面積以上のゆったり感を店に与え、その明るさで客を晴れやかな気分にもしてくれます。たちまちリラックスすると、店主の藤義明さんと久々の挨拶を交わしました。
この日お願いしたのは9,000円のおまかせ。小鉢2品、吸物(または茶碗蒸し)、にぎり10貫、玉、味噌汁という内容で、今日最初の小鉢はモロヘイヤのおひたしでした。しっかりした風味の冷たい出汁が、胃の腑を爽やかに刺激します。細く割いて揚げたスルメも実に面白いアクセント!ハモを炊いて取った出汁を加え、深みとコクを増した吸物も良き完成度。ハモ、ジュンサイ、梅肉という食材の組み合わせが初夏の訪れを感じさせます。

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それを終えると、お楽しみのにぎりがスタート。1貫めは独特の歯応えが楽しいアラです。ミョウガ、紅葉おろし、スダチなどの薬味がピリッと舌を覚醒させ、あらためて10貫に臨む食欲をかき立ててくれます。
丁寧な細工のヤリイカは、ごま塩と中に挟んだシソで爽快さを演出。その爽やかさがさらに引き立つ、キリッとした赤酢のシャリにも個性を感じました。「なだ万」時代は米酢でしたが、何度も研究を重ねて現在の「凛々しいシャリ」に到達。目指すのは「酒が美味しく飲めるアテのような寿司」だそうです。

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トロリとした舌触りが印象的なマグロは、絶妙な塩梅のヅケに。醤油が赤身に入りやすいよう一度湯引きする「本漬け」で仕上げています。
ボリュームも満点のホタテの炙りは、香ばしさとふっくら具合が魅力的。噛むほどに深まる滋味深さも含めて、貝の至福を余す所なく体現した一貫です。

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対馬産の穴子は、唯一通年出される超定番。活きたまま身を炊くことで得られる口溶け感が秀逸で、「これが一番の楽しみ」と語るファンの多さも頷ける逸品です。
最後を締める変わり寿司は、釜揚げしらすとイクラとウニの小どんぶりで、小さな宝石にも似た輝きに心を奪われてしまいました。もちろん味も完璧で、これは誰もがひれ伏す無敵のコラボでしょう。

なおランチの7,000円コースはこの9,000円とほぼ同じ。より値頃に楽しみたい方にお勧めです。

「鮨 藤よし」の詳しい情報はコチラ



赤坂駅直結のビル地下1階で、名店の遺伝子を継ぐ町寿司を満喫 鮨 おおしお

これまで色んなタイプの寿司屋を訪れましたが、「おおしお」の立地はなかなか独特なものがあります。入居先は地下鉄赤坂駅に直結したビルの地下1階。車や乗降客の絶えない明治通りと地下2階の赤坂駅に挟まれながら、泰然と店を営んでいる感じが一種のオアシスのようで面白いのです。

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店内はうなぎの寝床のようなレイアウト。手前にはネタケースのあるカウンター席とテーブル席、そして奥には掘りごたつの個室2部屋を完備しています。と、つけ場から「いらっしゃいませ」と大潮主税さんが第一声。

並にぎりは1,980円で、特上でも4,400円。もちろんお好みでも頼めますが、本日は噂に聞く内容充実のコース(前日まで要予約)を注文。税抜5,500円から10,500円まで1,000円刻みで用意され、今日は一番人気の9,350円(税込)にトライです。

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お通しの次に出された刺盛りが、早くも“噂”の確かさを実証します。この日はタイ、アジ、イワシ、ウニ乗せホタテなどの7点盛りで、単品注文なら3,500円前後の一皿。どれも2切れずつなので、思わず「これで1人前?」と尋ねてしまいました。
この後つまみの盛り合わせを平らげると、続いて甘鯛の焼き物が登場。この時点で結構なボリュームですが、さらに鯨3種盛り、天ぷら3種盛り、茶碗蒸しという流れが豪華すぎます。

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料理が済むと、後半戦の握り8貫へ。イカはいわゆる「荒磯」仕上げで、厚めの身が心地よく歯に食いこみます。すりおろした柚子の皮もほのかな爽やかさをプラス。
梅とシソを挟んだコハダは、白板昆布と一味を乗せて。程よい酸味についつい酒杯も進みます。なおこちらのシャリは「やま中」直伝の黒酢を加えた風味の良いもので、そこにも老舗の遺伝子が感じられました。

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新鮮な繊維質の食感を楽しめたのがエンガワ。ネギと紅葉おろしを挟み、より膨らみのある味となっています。「でも基本は、魚のうまさが伝わるシンプルな寿司を心がけてますね」と大潮さん。海苔からこぼれ落ちそうな愛媛産赤ウニも、その心意気を雄弁に物語るようでした。

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中トロにはカマの部分を使用。ふっくら柔らかな赤身はトロの魅惑が十分で、シャリが隠れるほどの厚みにも太っ腹なサービス精神がこもります。
そして握りのフィナーレは対馬産の穴子。白炊きした後、出汁・砂糖・調味料でさらに炊き、一度冷やして再度炙る……という手の込んだ一貫でした。
さらに赤だしを経てコースは終了。コースのシャリは量が少なめとあって、驚くほどスムーズに完食できましたよ。

「鮨 おおしお」の詳しい情報はコチラ


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