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上野万太郎の「この人がいるからここに行く」 福岡市東区西戸崎の“米軍ハウス”で週末限定アンティーク雑貨・古着販売「Marinford」の高木光喜さん

福岡市東区香椎から志賀島方面へ、海の中道を過ぎたあたりに位置する西戸崎という街があります。福岡市渡船を利用すればベイサイドプレイス博多から船で15分と近く、福岡市のちょっとしたリゾート地でもありますね。

今回は西戸崎で“米軍ハウス”を自宅とお店に改装して、週末を中心にアンティーク雑貨や古着の販売をしている「Marinford」(マリンフォード)の高木光喜(たかき・こうき)さんのお話です。

西戸崎に残る“米軍ハウス”

まずは西戸崎や“米軍ハウス”について少し説明させてください。
“米軍ハウス”とは西戸崎に残っている木造平屋作りのアメリカ風の戸建て住宅のことです。これらは第2次世界大戦後にこの地に駐留していたアメリカ軍基地の軍人やその家族が暮らすために建てられた住宅です。当時、西戸崎は「小さなアメリカ」と呼ばれていました。

初期の米兵たちは基地内の宿舎に住んでいましたが、1950年代に入り家族を呼び寄せる「家族帯同」が認められるようになると、基地外にも住宅が必要になりました。
そこで、西戸崎の地元の日本人地主たちがアメリカ側の注文に合わせて建て、米軍向けに賃貸したのが“米軍ハウス”です。日本の一般的な平屋とは異なり、アメリカ流の豊かなライフスタイルを反映した設計が特徴でした。例えば、広いLDKとベッドルーム、靴のまま生活する土足文化、大きな木製の窓やドア、タイル張りのバスタブ、基地の大型車両が通れるよう周囲の道路も格子状に広く整備されたそうです。

現在、“米軍ハウス”の多くは老朽化で取り壊されたりしましたが、一部は大切に残されています。最近では、そのヴィンテージな佇まいや、切妻屋根のシンプルなデザインに魅せられたクリエイターが移住してリノベーションしたり、アメリカンな雰囲気を体験できる民泊・ゲストハウスとして再生されたりしており、独特の緩やかでノスタルジックな街並みを形作っています。
「Marinford」の高木さんもまさにそんな西戸崎を愛し、ここに店を構えたひとりです。

“米軍ハウス”を自身で改装した「Marinford」

志賀島生まれの高木さん

1980年、西戸崎のお隣、志賀島に生まれた高木さん。高校時代は西戸崎を通って香椎まで通学していたそうです。高校卒業後は就職をしたくなかったので水道の設備工事会社でアルバイトとして働き、20歳からはイタリアンレストランやフレンチレストランで調理補助とホールの仕事をしていたという。

高木さん モノを作ったり料理をするのは好きだったので仕事は楽しかったですが、当時の飲食業界は多忙過ぎましたね。身も心もボロボロになって27歳の時に辞めました。とりあえず調理師の免許も取得して頑張る気持ちはあったんですけどね。

― その後はどうされたのですか。

高木さん 土木会社やオイルフェンスの製造工場などで働き、油圧ショベルや玉掛の免許も取得しました。その後、会社が事業縮小するということで退職して、親戚が経営する塗装会社を手伝うようになりました。結局、今でも塗装業の仕事は続けています。アルバイトから始めましたが今では独立しています。
平日は、塗装業を営みながら、週末は「Marinford」店主として働いています。

古着などに興味を持ったのは

― 古着やアンティーク雑貨を集め出したのはいつ頃からですか。

高木さん 具体的には就職してひとり暮らしを始めてからですね。食器やインテリア、家にもこだわるようになりました。飲食店で働いていた頃、週に一回だけ休みがあったので、古着屋さんを回って買い集めていました。ファッションも好きで、とにかく他人と同じスタイルは嫌だったので古着の個性を生かして人と被らないような服を着ていました。当時はまだ古着が安かったので新品を買うよりたくさんの服を買えたのも良かったです。

その当時、ストリートファッションを掲載する雑誌があったのだが、その時に声をかけられて載ったのが下の写真だそうだ。まあ、確かに他の人と一緒は嫌だ、という気持ちが体中から溢れていますね。

右上の写真が高木さん(雑誌「no!」2007年9月号)

2010年「Marinford」開業

― お店を始めたタイミングは?

高木さん まだ工場で働いている頃から「Marinford」という屋号を作って店は始めていました。古着屋さんに通う中で憧れはあったのですが、自分でお店を持つ勇気は無かったんです。そんな時にある古着屋の店主さんが「古着屋をやりたいと言うお客さんがよくいるんだけど、やりたいならやればいいのにといつも思うんです」と言う言葉を聞いた時にドキッとしたんです。その言葉に背中を押されて、自宅だったらあまりお金をかけずに出来るかもしれないと思って大家さんに承諾をもらったのです。すぐに古物商許可を得て開業準備に取り掛かりました。色々なご縁や偶然が重なって店を始める事になりました。

― 店名「Marinford」の由来はなんですか。

高木さん 人と被らないファッションや古着が好きだったので水兵さんみたいなセーラー服やボーダーシャツを着て出歩いたりしていたんです。生まれも育ちも海の近くだったし、「Marin」という言葉が好きだったので、某漫画に出て来る「Marinford」という言葉を借りて店名にしました。

― 営業日は週末のみですね。

高木さん 平日は普通に塗装業をしながら週末にイベント出店して販売することから始めました。次第に自宅を改装してどんどんと売り場が広がっていきました。

― どんな商品を取り扱っていますか。

高木さん アメリカとヨーロッパの古着、それにファイヤーキングなどの輸入物のコーヒーカップ類、日本の昭和の食器、ワッペン、バッヂなどただ見ているだけでも楽しいような商品を探して仕入れています。偽物などが流通することもあるので、その辺は目利きができるように勉強していますし、信用できる店から仕入れるようにしています。

― それでは、僕が気になる商品をいくつか詳しく説明してもらいましょう。まずはファイヤーキングのカップから。

高木さん 取り扱っているファイヤーキングは1950年代~70年代のアメリカ製で、耐熱ガラスで作られたマグカップになります。 価格は3,000~9,800円。デザインが可愛くカラーや形も豊富なところもコレクター心をくすぐる要因かと思います。 アメリカ映画にもよく登場するのでアメリカのカルチャーには欠かせないアイテムです。

高木さん 昭和レトロなお皿は、1970年代~1990年代の日本製で700~1,000円。 現代にはない配色とシンプルだけど個性のあるデザインで料理と相性が良いのがオススメポイントです。

高木さん ワッペンはアメリカ製で400~800円。リングは500~1,000円、缶バッジはカナダ製を中心に300~600円、ピンバッジはフランス製で400円。ファッションにワンポイント個性をプラス出来るのがオススメポイントです。

高木さん 洋服を選ぶポイントはなるべく流行のモノは仕入れないこと。 年代や生産国には拘らず自分が着たいと思えるか、あのお客さんに似合いそうだと想像できるモノを選ぶようにしています。 価格は2,000円~70,000円。メインの価格帯は4,000~6,000円です。

― 古着ブームも続いているし最近は若い子たちの間でも昭和レトロなどで盛り上がっていますが、影響はありますか。

高木さん ブームの影響はありますね。価格がどんどん上がっています。特に古着は、昔だったらこんな値段では仕入れ出来ないし売れないよ、みたいなモノもあってあまり面白くはないですね。安くてオシャレなのが古着の良さだったからですね。そういう意味で今は食器類に力を入れています。

― この額に入ったコラージュは何でしょう。

高木さん 古い海外の雑誌などを集めるのも好きなので、それを使って切ったり貼ったりするコラージュも制作して販売しています。知り合いのお店に出張してコーラージュのワークショップもしていますので、お声かけいただければ出向いていきます。

高木さんにとって「Marinford」とは?

高木さん 人と被らないファッションが好き、古い雑貨が好き、欧米の古い文化が好き、昭和の日本も好き、価値観が似ているお客さんと話をするのも楽しいし、個性的なファッションの面白さも伝えていきたい。ここの場所はそんな自分の“自己表現の場”ですね。

― 今後の予定は?

高木さん 3年前に結構大きな病気をして入院したんですよ。今後は健康にも気をつけながら安くて良い品物を仕入れてバンバン販売していきたいと思います。バンバン売れすぎるのも仕入れが大変ですけどね(笑)
7月~8月は骨董市のようなイベントにも出店しますし、同じ西戸崎にある「ケンジーズドーナツNo13西戸崎」のケンジさんの店の一部をお借りしてPOP UP販売をさせてもらう予定もあります。あそこは涼しいですから(笑)

― 暑さに気をつけて頑張ってバンバン販売してバンバン仕入れてください。今日はありがとうございました。

【店舗データ】
店名:Marinford
住所:福岡市東区西戸崎4-15-30
電話:090-7169-3970
時間:12:00~17:00
営業日:土日と祝日のみ(イベント出店の場合は土日祝日でもお休みしている場合あります)
instagram:https://www.instagram.com/marinford1530/

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この記事を書いたひと

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