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気象に「絶対」は絶対ない!

暮らし気象転結
「7年ぶりの大寒波」にすっぽり包まれた今週、九州北部でも氷点下まで冷え込んだ。雪雲が去った後の温かい陽光がうれしい。
だが実は、九州北部で1月は最も日照時間が少ない月だ。北から流れ込む寒気が強いほど、海水温の高い対馬海峡上を通過する時に、海から水蒸気が供給され、雲が出来て陸地に流れ込んでしまう。

苦い思い出がある。気象予報士になったばかりの1998年1月。強い寒気のために、どんよりとした冬空が10日以上続き、「いつになったら晴れるの?」「洗濯物が外に干せない」などと質問や苦情が殺到。そんな時、やっと翌日の予報が「晴れ、降水確率0%」と出た! 喜々として私は「皆さん、大変お待たせしました。あすは降水確率0%。絶対晴れます。これで雨が降ったら、坊主頭にします!」と口走ってしまったのだ。「しまった」と思ったものの後の祭り。翌日は寒気の影響が残り、数ミリの雨。「てるてる坊主」を作る風習はあるが、自分が「坊主頭」になってしまうとは。

なお、降水確率とは四捨五入した後の値のため、0~4%が0%に。つまり絶対に降らないという意味ではない。「気象に絶対は、絶対ない」。その時の教訓が、今の私の礎になっている。

龍山康朗=RKB気象予報士・防災士
毎日新聞福岡版 2023年1月28日掲載

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龍山康朗