第一話「せいもん払い」その1~5
「なんね! あの男!」
福町かなめは、8年ぶりに会った博の背中に向けて、そう叫んでいた。
かなめは博多で生まれ、博多で青春時代を過ごした、生粋の博多っ子だ。 博は、中学生の頃、同じ学校に東京から引っ越してきた。博は都会育ちをひけらかすこともなく、たどたどしくはあるが積極的に博多弁を使い、博多に馴染もうと努力していて、人気者だった。かなめは博と同じ高校に進み、クラスが同じになることはなかったが、博は気になる存在だった。 2011年。かなめと博は同じ高校の三年生になり、文化祭の実行委員会になって急接近する。「博多の文化を見直そう」という文化祭テーマのもと、企画展示と講演企画の成功に邁進していた。かなめは博と共に、自分も知らなかった博多の文化を学び、共に行動するうち、ほのかな恋心さえ抱いていた。
時は2020年。11月のある日、かなめは会社の社長に頼まれて、東京からの客人を迎えた。会社がお世話になっている有名デザイン事務所の期待の若手ホープなのだという。かなめが博多駅に迎えに行くと、そこに現れたのは、すっかり大人になって成長した博だった。博は、大手都市デザイン事務所に就職し、若くして頭角を現していた。 大人びて、都会で洗練された姿の博に心ときめかせたかなめ。博とともに、櫛田神社から、川端商店街を歩いていたのだが…
かなめは博多で生まれ、博多で青春時代を過ごした、生粋の博多っ子だ。 博は、中学生の頃、同じ学校に東京から引っ越してきた。博は都会育ちをひけらかすこともなく、たどたどしくはあるが積極的に博多弁を使い、博多に馴染もうと努力していて、人気者だった。かなめは博と同じ高校に進み、クラスが同じになることはなかったが、博は気になる存在だった。 2011年。かなめと博は同じ高校の三年生になり、文化祭の実行委員会になって急接近する。「博多の文化を見直そう」という文化祭テーマのもと、企画展示と講演企画の成功に邁進していた。かなめは博と共に、自分も知らなかった博多の文化を学び、共に行動するうち、ほのかな恋心さえ抱いていた。
時は2020年。11月のある日、かなめは会社の社長に頼まれて、東京からの客人を迎えた。会社がお世話になっている有名デザイン事務所の期待の若手ホープなのだという。かなめが博多駅に迎えに行くと、そこに現れたのは、すっかり大人になって成長した博だった。博は、大手都市デザイン事務所に就職し、若くして頭角を現していた。 大人びて、都会で洗練された姿の博に心ときめかせたかなめ。博とともに、櫛田神社から、川端商店街を歩いていたのだが…
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