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眠りたいのに眠れない。5つの原因とその対策とは?

大賀薬局

夏真っ盛り!
日本の夏は湿度も高く、暑くて寝苦しい夜が増えてきました。
今回は睡眠のお話しです。
真夏に限らず、なかなか眠れないなどの不眠に関するお悩みは、一年を通じてもっとも相談が多い内容の一つです。

眠れない原因はどこにある?

眠くなるはずの時間なのに、なかなか眠れない。そんな経験は誰にでもあるはず。ほんとうに辛いですよね。
今回は、眠れない原因がどこにあるのかを考えてみたいと思います。

眠れない原因としてまず考えられるのは、周囲の騒音や照明の明るさ、クーラーによる冷え過ぎなどの「環境的要因」があります。また、痛みやかゆみなどによる「身体的要因」も不眠の原因としてあげられます。

こういった場合は、眠れない理由が明確であるため、騒音や照明の遮断、室内温度の調節、痛みやかゆみを抑える薬の処方で不眠の原因を解消することができるでしょう。

その他にも、睡眠不足の原因はいろいろなことが考えられます。

睡眠不足の原因その1 "ストレスや不安、考えごとなどの心理的なもの"


ストレスなどの心理的な要因は、夜のリラックス時に優位になるはずの自律神経のバランスが乱れることによって、交感神経を活発化させて覚醒を促すための副交感神経の働きが抑制されてしまいなかなか寝付けなくなり睡眠を妨げてしまいます。

睡眠不足の原因その2 "飲食物の不摂生"

脂っこいもの・甘いもの・辛いものなどの食べ過ぎ、お酒の飲み過ぎは、胃や腸などの消化器系の中に飲食物の滞り(食滞)を起こして熱を生じます。

体内の熱は、上昇する性質があるので徐々に熱が頭の方へと上がって行き、脳の意識や精神にまで影響を及ぼし眠れない原因となってしまいます。

寝る前や夜遅くの飲食は、脳が胃の中の消化活動のために働き続けてしまうので眠りが浅くなる大きな要因となります。また、コーヒーや濃いお茶などの飲み過ぎや飲む時間帯にも気をつけましょう。

睡眠不足の原因その3 "生活習慣のリズムの乱れ"

交代勤務制や夜勤など時間差がある仕事をしている人や、ついついテレビを遅くまで観て夜更かしをしてしまう人は、眠る時間が不規則になったり睡眠時間が短くなるため生活習慣のリズムが乱れ、体内時計にズレが生じてスムーズに眠れない状態をひき起こしてしまいます。

さらに、就寝間際までパソコンやスマホなどを見ていると、ブルーライトの刺激で脳が覚醒されますます寝つきを悪くすることになります。

睡眠不足の原因その4 "働き過ぎや加齢などによる滋養物質の減少"

過度な労働や加齢は、心や体の健康バランスを保つ栄養物質(滋養をする物質)を消耗し不足させてしまうことにより不眠症状を起こしてしまうことがあります。

過労は、体が疲れて休みたいのに脳は興奮が静まらずうまく眠れない状態をひき起こします。加齢は、日中の活動量の減少を招くため睡眠時間の必要量が少なくなり睡眠の質の低下による浅い眠りが生じてしまうことが考えられます。日中の運動によって活動量を補うことも必要です。

睡眠不足の原因その5 "女性ホルモンのバランスによるもの"

人間の体は就寝時になると少しずつ熱を放出しながら眠くなっていく性質を持っています。
特に女性は、生理中に女性ホルモンの1つであるプロゲステロンの分泌が増加することで体温が上昇して寝つきにくくなることがあります。また、ストレスから守るホルモンのエストロゲンが少なくなってイライラし眠れなくなるケースがあります。

閉経前後の更年期を迎える頃には、女性ホルモン全体の分泌が低下し、自律神経のバランスが乱れて不眠に陥りやすくなってしまいます。

このことからも女性は男性よりも睡眠不足になりやすい傾向にあることが分かります。

漢方的視点での不眠の原因の捉え方

こうした眠れなくなる原因を漢方的な視点で大きく分けてみると、体に外的要因が加わったことで起こる「実証の不眠」と、体のエネルギーや栄養物質の消耗、不足などによって起こる「虚証の不眠」に分類することができます。

先に述べたいくつかの原因においては、ストレスや飲食物などによるものは実証の不眠に、加齢や過労などによるものは虚証の不眠に当てはまるものと思われます。

実証の不眠は、やや急性的に起こることが多く、不眠を起こしている外的要因やそれによって発生した物質を取り除くことを中心とした漢方薬での対処を行います。

虚証の不眠は、慢性的に起こることが多く消耗し不足してしまった心(こころ)を補うための漢方薬を主として対処を行い、治療には少し時間がかかる場合もあります。

思い当たる不眠の要素を色々と改善してみても、なかなか眠れない人やなるべく睡眠薬や精神安定剤などへの依存を避けたい人には、それぞれの体質を判断して対処を行っていく漢方薬の活用がたいへん効果的です。

慢性化してしまう前に早めの対応を

昨今は、コロナ禍の不安や緊張で体が疲れているにも関わらず、脳は興奮してなかなか寝つけなかったり、自宅でのテレワーク等が多くなり、運動の機会も減った上に不規則な夜型生活になる人も増加傾向にあるなど知らず知らずのうちに「睡眠リズム障害」を起こしてしまうケースが懸念されています。

快適な睡眠には、規則正しい生活を心がけ朝はきちんと起きて太陽の光を浴びるなど体内時計のズレを整える行動に努めましょう。

不眠の症状には、改めてその原因がどこにあるのかをしっかりと把握・認識した上で対策を講じることが改善への大きな近道だと考えます。

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この記事を書いたひと

大賀薬局

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福岡市博多区に本社を置き、ドラッグストア、調剤薬局などを展開する。創業、明治35年(西暦1902年) 。健康に関する様々なコラムを展開しています。