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農業県の大革命!~残留農薬を見逃さない~

残留農薬量が短時間で一目瞭然!
宮崎県総合農業試験場の安藤孝部長(54)は20年の歳月をかけて、2週間かかる検査がたったの2時間で終了してしまう驚異の技術を開発した。
その名も「宮崎方式残留農薬検査」。

この検査では国内に流通する農薬400種全ての検査が可能。
これまでの検査では時間がかかりすぎて、結果が出る頃には野菜はすでに消費者のお腹の中に入っていた。
安藤部長は「生産者の自信と消費者の安心に繋げたい」との思いで技術開発にあたった。
この技術によって宮崎では残留農薬の出荷前検査が可能となり、検査の途中で万が一問題が見つかってもその野菜が市場に出回ることはない。
検査結果は生産者へフィードバックされ、必要な農薬指導が徹底される。
長年の成果により、宮崎の残留農薬検査合格率は、ほぼ100%!
この実績によって、宮崎の農産物は市場関係者の厚い信頼を勝ち得ている。

そして今年、大手分析機器メーカー等との共同開発でさらに精度を増した新宮崎方式が誕生。検査時間はさらに50分に短縮し、検査できる農薬は500種へと飛躍的に進化した。装置は農業に限らず医療や化学工業などの他分野への応用も可能だ。安藤部長が描く未来とは!?
<取材先データ>
宮崎県総合農業試験場
担当者:生産流通部 安藤孝部長
宮崎県宮崎市佐土原町下那珂5805
電話:0985-73-2121(代表)

取材後記

番組内では紹介しきれませんでしたが、安藤さんが宮崎方式残留農薬検査システムを開発したきっかけの1つに、「検査員の健康を守りたい」という思いがありました。
実は従来法では、野菜から農薬を取り出すときに有害な有機溶剤を大量に使わなければならず、検査員の身体的な負担をとても心配されたそうです。従来の方法では、県民の健康のために残留農薬を調べれば調べるほど、検査員の健康がおびやかされる、という矛盾が生じていたのです。

しかし、安藤さんの開発によって検査に必要な有機溶剤の量はなんと1000分の1にまで減少。この話を聞いた時、本当の意味で県民のための農薬検査になったのだと感じました。

20年間に渡り、農薬検査の改善、そして県産野菜のブランド力向上に身を捧げてきた安藤さんの努力は大変なものだったと思います。現在も新法人の立ち上げや研究などで県内外を走り回っており、とてもお忙しそうです。しかし私たち取材班に疲れた様子を全く見せることなく、いつも素敵な笑顔で迎えてくださいました。
一番印象的だったのは、安藤さんのキラキラ輝く瞳!「私たち研究者は現状に満足せず、常に新しい何かを求め続けなければならない」そう話す安藤さんの目には、揺るがない信念を感じました。
それでいて謙虚で、優しく、とっても温かい。宮崎方式の開発秘話を聞いた際にも「私はただ、すごくラッキーだったんです」と控えめに話してくださいました。そのお人柄があってこそ、素敵な人たちとのめぐり合わせや繋がりが生まれ、宮崎方式は発展していったのだと思います。

最後に私ごとですが、ディレクター2年目、今回初めてドキュメンタリー番組を担当させていただきました。制作中に感じたのは、複雑な事柄をより簡単に説明することの難しさ。わかりやすく、興味を持っていただけるような番組作りは今後の課題です。これからも「宮崎のスゴイもの、輝く人」をたくさんの方にお伝えできるよう頑張ります!
担当:MRT宮崎放送  田淵 菜々

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