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文学系インフルエンサー4人が伝授!本を読むコツと今おすすめの一冊

暮らし
YouTubeやTikTokなどのSNSを使って本を紹介する「文学系インフルエンサー」たちの投稿が、本の売れ行きを左右する時代。RKBラジオ『櫻井浩二インサイト』では、読書の秋にちなんで、4人の文学系インフルエンサーに、本を読むコツと今読んでほしい“推しの1冊”を伝授してもらった。

11月8日(月)年間356冊。1日1冊の本を読む、本スタグラマー・きりんさん

4歳で読書をはじめた無類の本好きで、年間356冊の本を読む。1年前から、インスタグラムで本を紹介。ほぼ毎日の更新で、これまでに500冊以上を紹介。小説・エッセイ・ビジネス・自己啓発本などオールジャンル。
きりんさんの“推しの一冊”は、川上未映子「すべて真夜中の恋人たち」。最近、世界中で読まれるようになって再注目されているという。主人公は34歳の独身、冬子という女性。会社で人間関係がうまくいかなくなり、フリーランスに。高校時代に受けた心の傷をずっと抱えているので、恋からもすっかり遠ざかっている。そんな日々を過ごしているとき、年上で物静かな三束という男性に出会う。冬子にとって三束は長く閉ざしていた心を少しずつ開いてくれる存在。冬子は好きという気持ちを通じてたくさんの感情を味わうようになっていく―。

 

きりんさんは「一人でいることは気楽だけど、孤独との葛藤があります。他人と距離をとっていれば傷つかなくて済みますが、愛を求めていれば傷つくこともあると思うんです。でも、人は一人では生きてはいけない。恋に踏み出せないと思っていても、何でもない日常に恋が舞い降りてくる。こういう純愛の奇跡を、大人になっても信じたくなる、そんな小説です」と推薦理由を話している。

   

11月9日(火)TikTokで紹介した本が10万部の増刷!自身も小説家デビュー予定のけんごさん

筒井康隆「残像に口紅を」の帯には「TikTokで超話題!累計30万部突破」とある。紹介したのは、けんごさんだ。開設1年でフォロワー27万人を抱え「自分自身でも驚くほど環境が変わった」と話すけんごさん。読書歴はまだ5年ほどだという。
けんご:小学校から大学まで野球一筋でしたが、東野圭吾「白夜行」を読んだことがきっかけで、読書にハマり、この5年で800冊読みました。SNSで発信しているうちに、出版社や作者と対談する機会が生まれ、業界の裏側を知ることができました。ついには、僕自身も小説家として来年春にデビューすることになり、現在執筆中です。それがきっかけで、今では本の読み方も「ただ面白い」から「なぜ面白い?」と考えるようになりました。僕のTikTokを見て、中高生のフォロワーから「小説家を目指します」「小説が好きになりました」という声や、親御さんから「子供が本を読むようになりました」とメッセージをもらうことが多くなりました。

 

そんなけんごさんの“推しの一冊”は、ノーベル文学賞を受賞したヘミングウェイの世界的なベストセラー「老人と海」。この作品は「カジキマグロと老人の格闘」を描いたものだが、丸1日かけたこの闘いの中に「あきらめない精神」が詰まっているという。「初めて読んだのは大学生の時で、当時はよく分からなかったのですが、社会人になりさまざまな経験をして読み返すと「一生懸命やれば報われる」ということが感じ取れます。有名な作品ですが、読んだことがない人もたくさんいるはず。大人はもちろん、中高生にも分からないなりに読んでほしい」とプッシュしている。

   

11月10日(水)純文学を読むコツは「紙1枚を用意する」文学系ユーチューバー・梨ちゃん

YouTube「梨ちゃんねる」を主宰している梨ちゃんは、純文学作品を中心にこれまで約100冊を紹介。「中学3年生の時に、学校の先生に国木田独歩をすすめられたのが純文学を好きになったきっかけ。最初は難解すぎたが、繰り返し読んでいくうちに謎解き感覚で読めていった」という。純文学は、娯楽性よりも作家の芸術性が突出しているので、行間を楽しむ文学でもある。「純文学は、向き不向きのある分野。エンタメ小説のように起承転結のないものが少なくない」と話す梨ちゃんに、純文学を読むコツを聞いた。
梨ちゃん:読むときに、紙を一枚用意して、読みながら不思議に思ったキーワードを書いていくんです。すると読み終わった後に、そこに残ったキーワードをつなげていくと、作家の意図が分かります。

 

梨ちゃんの“推しの一冊”は、第43回野間文芸新人賞の受賞作・井戸川射子「ここはとても速い川」。中原中也賞を受賞した注目の詩人による、初の小説集だ。

   

11月11日(木)2000冊の自己啓発本を読み、インスタが副業のじゅんじゅんさん

本のソムリエを名乗り、本を紹介しているインスタグラムで月に10万円稼ぐという30歳のサラリーマン・じゅんじゅんさん。主に読んでいるのはビジネス本や自己啓発本だという。「本は作者の10年分くらいの経験が、失敗成功体験含めて書かれています。だから、いろんな人の経験を、本を通して知ることができるんです。自己啓発本は章立てになっているので、最初から最後まで読まなくてもいいのがいいところ。“自分に刺さる章”だけを読めばいい」とアドバイスしています。

 

そんなじゅんじゅんさんの“刺さる一冊”は、SNSで紹介したところ、Amazonの在庫がなくなったという高橋歩「自由人の脳みそ」。

 

じゅんじゅん:これからも本を読み進めていくと思うんですけど、これにかなう本は見つからないと思います。高橋歩さんは自分で事業をされている方なんですけど、良い意味で考えがぶっ飛んでいるというか。ある程度事業で成功されていたのに、結婚した3日後に友達に社長の座を譲って、世界一周旅行に行っちゃうような人なんです。そういう生活に憧れるというよりは、そういう考え方もあるんだと。

   

本との付き合い方は十人十色。あなたにとって「読書の秋」の一助になりますように。

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