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畜産王国の“旗手”海外に挑む

農家の高齢化や担い手の減少で、日本の畜産業は今、転換期を迎えている。畜産王国とも言われる南九州も例外ではない。 この逆境の中、今、畜産業界で注目されている企業がある。鹿児島市に本社を置くカミチクだ。零細農家が多い畜産業界。 だが、創業者で会長の上村昌志さん(58)はカミチクを一代で、全国有数の畜産企業グループに成長させた。従業員1000人、農場の数は60か所にのぼる。その成長の鍵が「6次産業化」 牛の飼育などの「第1次産業」に、牛肉を加工する「第2次産業」、飲食店で牛肉料理を販売する「第3次産業」をかけあわせたビジネスモデルだ。6次産業化で勢いに乗るカミチク。

だが、上村さんは日本の畜産業の将来に危機感を強めている。それは人口減少などに伴う、国内消費の落ち込みだ。そこで、上村さんは海外に目を向けた。タイ、マカオに続き、アジア有数の市場・香港への牛肉の輸出などを計画。 

そして、次なる目標は、カミチクの成長の鍵となった「6次産業化」の海外展開。日本の企業がほとんど手をつけてこなかった東南アジアの国で、すでに交渉を進めている。 番組では、「6次産業化」の輸出という未知の領域に挑戦する上村さんの姿を追うとともに、南九州の畜産の未来を探る。
取材先
会社名:株式会社カミチク
担当者:代表取締役社長 上村昌志さん
住所:鹿児島市上福元町6921‐1
電話:099-822-1888
HP:http://www.kamichiku.co.jp/ その他:カミチク オンラインショップ 情熱牧場
URL:http://jyounetsu-bokujyo.com/

取材後記

取材中、上村さんのスケジュールを見せてもらう機会がありました。朝から晩まで商談や会議がびっしり。1年で休めるのは正月くらいだそうで、体は大丈夫かと、こちらが心配になるほどでした。

いつも多忙な上村さんが癒されるひととき。それは、月に1度の「農場の巡回」。もちろんこれも仕事。でも、デスクワークの時とは表情が違います。「おはよう」「元気か?」牛1頭1頭に声をかけます。「牛は素直に感情を表現してくれるところが好き」と上村さん。まるでわが子をみつめる父親のような優しい表情でした。

牛舎や牧場が広がるのどかな農村の風景も、担い手の減少で減りつつあります。しかし、畜産業は私たちの命の源をつくる大事な産業。どう守り、発展させていくのか。カミチクの取り組みを通じて、改めて考えさせられました。

担当:MBC南日本放送 道山 幸司

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