SDGsおじさん、スカートを履く【ジェンダー問題を考える】

SDGsおじさん、スカートを履く【ジェンダー問題を考える】

人生初のスカート体験! その感想は…

2021年10月、スカートを履きました。生まれて初めての経験です。小学生の頃から剣道を続けていたので袴を履くことはありましたが、スカートは初めて。とは言え、まだスカートだけで外に出る勇気はなく、スカートの下にはズボンを履いています。ズボンを履いていなくても下着が見えることはないと思うのですが、すね毛が見えてしまいます。周りの人は気持ち悪がるかもしれません…。
当初は週に2~3回履いていましたが、今は月に数回着用する程度に減っています。しかしまだまだ履き続けていこうとは思っています。だって、「あいつ、最初だけ調子に乗ってスカートなんか履いて、最近はいつも通りに戻ったな」と思われるかもしれないし…(笑)。やっぱり、周りの目が気になります。

スカートを履く男性に対する周りの反応は?

僕が今持っているスカートは1着のみ。履いていると「かわいい!」「素敵!」と声をかけてくれる方も増えてきました。実際、スカートのデザイン自体はとても可愛くて素敵だと自負しております。しかし、声をかけてくださるのは女性の方ばかり。男性はほぼスルーです。
たまに同じ部署の先輩方が「何でスカート履いているの?」と聞いてくれますが、理由を伝えてもほぼリアクションはありません。まあ、当然の反応でしょう。スカートは女性が履くもの。世間的には、それが当たり前ですから。

僕がスカートを履き始めたきっかけ

それは6月にRKB70周年記念番組の取材を通して、「PUKA」のみなさんと出会ったことが大きく影響しています。
「PUKA」は、ファッションを切り口に環境問題解決への取り組みを発信している7人組で、新卒1年目や現役大学生の女性からなるグループです。彼女たちはオリジナルのファッション誌を作っていて、その特集のひとつに「草木染め」の企画がありました。玉ねぎの皮を煮出してシーツを染め、それで洋服を作ろうというものです。
「草木染め」と聞くと、ローカルな旅館のお土産屋さんで売られているものというイメージが強く、年配の方向けのものという固定概念を持っていました。しかし、20代の女性が「草木染めって新しい!」という感覚で挑戦しているところが面白くて、自分でもやってみることにしたのです。使ったのは枇杷(びわ)の葉と茎です。鍋でぐつぐつ煮出していくと薄い黄色の液体が抽出されるのですが、その中にシーツを漬け込むと、なんと淡いピンク色に染まるのです。不思議ですよね。
そのシーツを仲良しの敏腕ADナベちゃんに渡し、スカート作成を依頼しました。するとシーツだけでなく、ナベちゃんが持ち合わせていた端切れもワンポイントで付け加えてくれて、とても素敵なスカートが完成しました。そんなきっかけをくれた「PUKA」については、次回のコラムで詳しくご紹介したいと思います。

スカートを履いて、ジェンダー平等を訴える

「スカートを履く理由は?」と聞かれたら、僕は「ジェンダー平等を訴えるためです」と答えています。とはいえ、実は「履いてみたかっただけ」で、「ジェンダー平等を訴えるとはどういうことなのか?」「行動を起こすと自分の心境にどんな変化が表れるのか?」を知ってみたかったのが大きな理由。これまで「海洋プラスチック問題」や「食と環境問題」を番組で取り上げてきた中で、当コラムで“SDGsおじさん”という称号をいただくことになりましたが、「SDGsを語るならもっと幅広い知識を得るべきだ」と感じた結果でもあります。
では、実際にはどのような心境の変化があったのか。結論から言えば、特にジェンダー問題について勉強したとか、取材したとか、そう行動を起こすまでにはなりませんでした。正直なところ、大きな変化があったとは言えません。このコラムを書くにあたり、それがどうにも引っ掛かり、女性スタッフと会話してみたところ驚くべき指摘をもらいました。
「変化がない。これこそが、ジェンダーの問題の根深さだ」と言うのです。

当事者でなければ実感しにくい。だから難しい。

いままで、環境問題であれば「これはいけない」と思い、自分の生活を変え、番組の中でそのことを懸命に訴えてきた僕が、ジェンダーのことになるとイマイチ実感もわかなければ、行動もしない(というかできない)。「なるほど!」と思いました。
環境問題であれば、いつかこの地球に住めなくなることは容易に想像がつき、毎年のように起こる自然災害でもその脅威を実感し、自分の生活を変えることができる。なのに、ジェンダーの問題においては、僕の行動はいまだに変わっていかないのです。もちろん、以前よりジェンダーの平等におけるニュースなどに注目するようにはなりましたし、今まで当たり前とされてきた“区別”に疑問を持つようにもなりました。でも環境問題のそれには遠く及ばない状況です。

「当事者の話を聞く」ことから始める

おそらくそれは、僕自身が今までジェンダーによって不利益を被った場面が少なく、ジェンダーの不平等やそれによる生きづらさを感じたことがあまりないからだと思います。想像力が欠けると言ってしまえばそれまでですが、やはり我が身に降りかかるものに対する危機感は、想像力で簡単に補えるものではないと思います。
思い返せば、環境問題においてもすべては「当事者意識を持っている」人たちから話を聞くことが始まりでした。既に当事者となっている人たちの発信に耳を傾け、想像力を働かせて、自分の当事者意識を育てていく。まずは、そこからスタートしていきます。

THE WRITER

松井聡史 / RKBテレビ制作部ディレクター
松井聡史 / RKBテレビ制作部ディレクター
カメラやパソコンよりも土を触ってる時間の方が圧倒的に長いRKB農園部(自称)。最近の仕事は、生ごみのコンポスト、畑の水やり、除草作業、野菜の販売、そして時々、番組企画書の作成。RKBラジオよなおし堂ではレギュラーでコーナーを持ち、SDGsを発信している。

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