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強硬外交の表舞台に立つ中国外務省スポークスマンの役割とウラ事情

強硬外交の表舞台に立つ中国外務省スポークスマンの役割とウラ事情

アメリカに続き、オーストラリア、イギリス、カナダが、来年2月の北京オリンピックへの外交的ボイコットを表明。中国をめぐる外交でさまざまな動きが起きている。

RKBラジオ『櫻井浩二インサイト』に出演した飯田和郎・元解説委員長が、このところ強硬な発言が目立つ中国外務省スポークスマンの役割と裏事情についてコメントした。

 

中国外務省のスポークスマンは戦狼外交の“表紙”

ここ数年の中国外交は「戦狼外交」と称され、攻撃的な外交スタイルを取っている。「中国版ランボー」とも言われ、大人気を博したアクション映画『戦狼』(2017年制作)がその由来。

かつて鄧小平氏の時代の外交は「爪を隠し、才能を覆い隠し、時期を待つ戦術」とされた。まだ経済力も国際的な影響力も低い間は、摩擦を避け、来たるべき時にその力を発揮しよう、ということだったが、世界第二位の経済大国になり、ついにベールを脱いだ。

外交儀礼も無視したスポークスマンのパロディ画投稿

今年4月、スポークスマンの一人が自身のツイッターに、葛飾北斎の代表作『富嶽三十六景』のパロディ画を投稿した。

富士山が原発とみられる建物に置き換えられ、防護服をまとった人物が船からバケツで緑色の液体を流す様子が描かれていた。日本政府が福島第一原発の処理水を海へ放出する方針を示したことを皮肉ったものだった。

当然、日本の外務省は中国に抗議し、投稿の削除を求めたが、スポークスマンは問題の画について「正当な民意と正義の声を反映している」と主張し、削除を受け入れなかった。

主張したいことを国営メディアや党機関紙に質問させる

ホワイトハウスが外交的ボイコットを発表した直後の12月7日の会見で、スポークスマンは「強烈な不満」を表明した。ここまでは織り込み済みだが、問題はこの後の発言。

「米国は、新疆ウイグル自治区におけるジェノサイド(集団殺りく)があったと『世紀の大うそ』を仕立て上げた。アメリカの歴史において、先住インディアンに対して行った犯罪こそ、真のジェノサイドだ。

アメリカは、招待されていないのに、新疆の人権問題と、政府関係者を派遣するかどうかをリンクさせた。米国の政治的陰謀は支持を得られず、失敗する運命にある」

このコメントを引き出す質問をしたのは中国中央テレビの記者だ。質問に答える形式をとっているが、中国外務省が主張したい内容については、中国の国営メディアに質問させている。

前日の6日の定例会見では、バイデン政権が9日から開く「民主主義サミット」をめぐって共産党の機関紙・人民日報の記者が質問したことに対し、スポークスマンは以下のようなコメントをした。

「アメリカは世界で最も先進的な医療資源と技術を有するが、新型コロナウイルスによって80万人以上が命を失い、5,000万人が感染に苦しんできた。この二つの数字は世界ワーストだ」

「アメリカの人種差別は根深く白人至上主義が蔓延している。民族・種族間の平等はまったくない。これでも民主主義を擁護していると言えるのか?(中略)アメリカのような民主主義を無視する国が、民主主義の名のもとにサミットを開く資格はどこにあるのか?」

ここまで挑発的な理由は3つ

まず、国外へ発信すると同時に、国内向けを強く意識していると思う。中国では国力が高まり、自信が深まるにつれ、若い世代を中心に「強い中国」を求める声が強まっている。彼らはここ30年ほど続いてきた愛国主義教育を受けてきた。

アメリカ流の価値観を押し付けられ、人権・民主主義に名を借りて、国家の威信をかけた初めての冬季オリンピックを貶められるのが許せないのだ。

次に、中国の外交官自身の問題。鄧小平時代のような「爪を隠し、才能を覆い隠し、時期を待つ外交」の時代を知らないエリート外交官は、海外へ留学して中国の力の高まりを国外で感じてきた。

世論に後押しされる形で、発言もおのずととがってくる。そして、共産党からの外務省への監督が強化されていることも背景にある。

2018年には、共産党の中枢部にそれまでの組織を格上げし、習近平国家主席自らがトップを務める「中央外事工作委員会」が設置された。外務省の裁量権が狭まっているのだ。

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2022.01.20
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