長崎県南島原市、雲仙山麓の豊かな自然に囲まれた場所に、未来の農業のヒントがありました。肉厚で旨味の強いしいたけを生産する農事組合法人サンエスファーム。ここでは、これまで処分されていた「使用済み菌床」を再利用し、栽培に必要なエネルギーを自ら生み出しています。
しいたけ栽培で大量に発生する廃菌床。その処分に頭を悩ませていた代表理事の長橋世紀さん(77)は、「このゴミを資源に変えられないか」と考えました。そして長崎市の企業・三基とともに開発したのが、廃菌床を燃料として活用するバイオマスボイラーです。水分を多く含み、燃えにくい菌床を安定燃焼させる独自技術によって、培養室の温度管理や乾燥工程に必要な熱を生み出しています。
廃棄物だったものが、農場を支えるエネルギーへ。そこには、資源を循環させながら持続可能な農業を実現しようという強い思いがありました。
さらにサンエスファームでは収穫体験や工場見学を行い、さらには“しいたけバーガー”や“しいたけソフト”などを提供する飲食店にも挑戦。生産から消費までを一つの循環としてつなげています。
南島原から始まる、小さな循環の大きな挑戦です。
<取材先データ>
農事組合法人サンエスファーム
電話:0957-84-3846
住所:長崎県南島原市北有馬町甲1414-8
ホームページ:https://www.sanesufarm.com/
取材後記
今回、取材で特に驚かされたのが、「捨てない」という発想でした。さらに、燃やした後に残る灰まで再利用しているのです。
世界では今、エネルギー価格の高騰や気候変動などが大きな課題となっています。農業の現場でも、大量生産・大量消費から、「循環」を意識した取り組みへと価値観が変わりつつあります。サンエスファームの挑戦は、地方の一企業の取り組みにとどまらず、これからの農業や地域産業の可能性を示しているように感じました。
ちなみに、敷地内のカフェで「しいたけソフトクリーム」や、「しいたけポタージュスープ」なども試食させていただきました。正直、恐る恐る口にしました。ところが、“意外”と言ってしまうと失礼ですが、どれも本当においしく、シイタケの新たな魅力を知りました。
(NBC長崎放送/岩﨑健太郎)
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