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「粉雪」「雪の華」人気の”雪ソング”の歌詞を読み解く

「粉雪」「雪の華」人気の”雪ソング”の歌詞を読み解く

かつて作詞家を志望していた、元サンデー毎日編集長・潟永秀一郎さんがレギュラー出演しているRKBラジオ『櫻井浩二インサイト』で月イチ恒例となっている企画「この歌詞が凄い」。1月26日に紹介したのは「雪」をテーマにした曲でランキング上位を占める2曲でした。

 

粉雪/レミオロメン(2005年)は「積み重ならない二人の関係」

テレビドラマ『1リットルの涙』の劇中歌。あれからもう17年も経つんですね。でも、全く古びないどころか、いろんな思い出がよみがえる人も少なくないんじゃないでしょうか。この歌、タイトルの「粉雪」が全てを表していて、これほどタイトルが的確というか、深い歌はそうはないと、私は思っています。

 

そしてこの歌で、私がタイトルと対になっている、つまり、その意味を語っていると思うのは、2番の最後のほうの歌詞

粉雪 ねえ 永遠を前に あまりに脆く

ざらつくアスファルトの上 シミになっていくよ

です。都会に舞う粉雪が、しんしんと降る雪と違うのは、決して積もらないこと。歌詞にある通り、アスファルトに落ちると、小さなシミを作ってすぐに消えてしまいます。ここまで聞いても、「なんのこっちゃ?」でしょう。じゃあなぜ、粉雪がこの歌のテーマなのか?読み解きますね。

 

この歌は、愛する人への思いを、彼が一人語りする内容ですが、例えば

僕は君の全てなど 知ってはいないだろう

 

素直になれないなら 喜びも悲しみも虚しいだけ

 

分かり合いたいなんて 上辺を撫でていたのは僕の方

と、ラブソングなのに、なぜか反省だらけなんです。彼は、この恋に深入りして、傷つくのも傷つけるのも怖くて、ただ楽しい時を過ごすだけ。でも、それじゃあダメなのも分かっているし、だから二人は今、一緒にはいない。そんな僕だから信じてもらえないかもしれないけど、本当に好きなんだ、それだけは分かってほしいという歌詞が

それでも一億人から君を見つけたよ

根拠はないけど本気で思ってるんだ

です。そして、その思いを確かめるように、自分に言います。

僕は君の心に耳を押し当てて その声のする方へすっと深くまで下りてゆきたい

そこでもう一度会おう

と。お分かりいただけましたか。「粉雪」の意味が。上辺だけで、本音で向き合わない関係は、積み重なっていかない。その時が楽しく、美しく見えても、何も残さない――そんな関係を、粉雪のはかなさに重ねたんじゃないか、というのが私の解釈で、全然違うかもしれませんが、そうやって深読みする楽しさが「この歌詞がすごい」なんです。

雪の華/中島美嘉(2003年)10代男子の恋愛観を的確に描く

作詞はSatomiさん、作曲は松本良喜さん。このコンビのヒット曲には、ほかに柴咲コウさんの「月のしずく」もあります。実は私、歌詞カードを見るまで、作詞は男の人だと思い込んでいました。それくらい10代男子の恋愛観を、泣きたくなるくらい的確に描いているからです。

 

その解説の前に、もう一つ、歌詞カードを読む大切さを、この歌から教えられました。それは冒頭の、この歌詞です。

伸びたかげを舗道にならべ 夕闇のなかを君と歩いてる

私はこの「ほどう」は、歩く方の「歩道」だと思っていたんですが、歌詞を読むと、舗装道路のほうの「舗道」なんですね。たった一文字ですが、この違いで風景が変わります。歩く方の歩道だと、当然ながら道の端を歩いています。横を車が通り過ぎているかもしれません。でも、ペーブメントの舗道だと、真ん中を歩いているイメージです。そもそも「夕闇」なのに、なぜ影が伸びるかも不思議でしたが、夕闇のペーブメントなら、二人を照らすのは街路灯。ほかに誰もいない道を、街路灯に照らされて、手をつないで歩いている――映画のワンシーンのような風景が浮かび上がります。ね、言葉って大事でしょう?

さて、じゃあ、この歌のどこが10代男子の思いなのか。例えば、

手をつないで いつまでもずっと

そばにいれたなら 泣けちゃうくらい

って、齢とっても思いますが、初恋の人と初めて手をつないだ時のトキメキって、そりゃあ「泣けちゃうくらい」ですよ。ほかにも

今年 最初の雪の華を ふたり寄り添って

眺めているこのときに 幸せがあふれだす

 

君がいるとどんなことでも 乗りきれるような気持になってる

 

誰かのために何かをしたいと思えるのが 愛ということを知った

この歌、タイムマシンですよ。10代のころ、好きな人と冬の街を歩いて、しかも今、その人がもうどこにいるのかも知らない人には、胸がキュッと締め付けられるような歌詞の連続で、これは男女問わず、永遠のメモリアルソングだと思います。歌詞にある通り、

風が冷たくなって 冬の匂い

がすると、聞きたくなる。あの頃がよみがえる歌として。そうして思うんです。春夏秋冬、四季のある国に生まれて良かったなあ、って。俳句に季語があるように、思いに季節を重ねることで、歌はより深く、人の心に届きます。そんな歌を、これからも紹介していきますね。

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