RKBは森かも!?

RKBは森かも!?

コンポストを始めて丸2年が経ちました。2年間で堆肥化できた生ごみは約3トン。ごみとして捨てた場合と比較して、抑制できた二酸化炭素は約1.4トン(年間約0.7トン)。ある資料によると、二酸化炭素約1トンは、杉の木約71本が1年間に吸収する量に相当するそうなので、RKBのコンポストは毎年杉の木約50本分の活躍をしていることになります。ややこしいので、まとめますと…。

【1年間での計算】
二酸化炭素
約1トン   ⇒ 杉の木約71本分
RKBの削減量
約0.7トン ⇒ 杉の木約50本分

50年生スギの人工林面積1ヘクタール当たりの炭素貯蔵量は170トン、1本当たりでは約190kg。 50年で割って年間約3.8kg(二酸化炭素14kg-CO2)。  出典:関東森林管理局HP

7階建ての社屋ですが、杉の木が50本植わっている森だと思うとなかなかの社会的イ
ンパクトがあったのではないかと思います。いかがでしょうか?

「段ボールコンポスト」やめました

2年間を通して、社会的インパクトもさることながら僕自身の気持ちの変化も大きかったです。1年目は「環境に良いことをしている」という正義感と「コンポストに起こる日々の変化」が楽しいという2つの気持ちが推進力となって、迷いなく日々の活動に向き合っていました。「段ボール箱の中の温度が上がった」「湯気が出た」「3日前に入れた魚の頭がもう分解されて見当たらない」など全てが初めての経験で、新鮮な気持ちで楽しめました。「生ごみが多く分解量も多いので湯気が水滴になり、湿気のせいで段ボール箱が破けた」ことさえも。

しかし2年目の後半となる昨年末、1年目に楽しいと思えた変化にも慣れ、気持ちの糸がプツンと切れたように「面倒臭い」思いが勝るようになりました。毎日段ボールコンポストを混ぜるためのコアメンバーは僕と庶務のマキちゃんの2人だけ。海側のテラスでやっているのもあって風が冷たくて寒い。強風の日はビニール袋に入った生ごみが飛び散りそうになるので、足はビニール袋を押さえつけ、手は箱の中身を混ぜる…、冬場は外気温が低いせいもあって分解が遅く、キャベツの芯などはいつまで経っても分解されず残っていて混ぜにくい…それでも生ごみは毎日出るのでさらに入れてかき混ぜる…とにかく大変なことしか起こらないのです。

僕は1人で何をやっているのだろう…。

そんな気持ちが芽生え、次第に面倒臭いくなり、活動当初は社内からメンバーを募ってみんなで活動したいと思っていたのに仲間がマキちゃんしかいないという状況も重なり、もう年度内でやめようかなと考え始めました。

その気持ちは年が明けても変わらず、苦痛を感じながらもマンネリ化した作業を行っていたのですが、1月末に気持ちが一転しました。それは、コンポストの指導でお世話になっている循環生活研究所の理事である“たいら由以子さん”からの電話によるものでした。「松井さんの気持ちが沈んでいる気がする」という会話から始まった電話はおよそ30分、気持ちが切り替わりました。

もう一度“楽しい”を体験したい。

たいらさんは25年以上NPO法人循環生活研究所で活動を続け、3年前新たにローカルフードサイクリング(LFC)を立ち上げてコンポスト活動を事業化し「都市の資源である生ごみ」(たいらさん談)の循環を目指しています。今はお母様と2人の娘さんと親子3代で活動されています。もちろん多くの従業員さんを抱えています。3年前に僕はたいらさんに初めてお会いしたのですがコンポストの内容や意義を伺い、衝撃を受け、今なお尊敬しています。その時の話の内容はいずれまた詳しくご紹介したいと思っていますが、ある言葉がずっと心に残っているのです。

私が生きている間に間に合わせたい

循環社会を目指すたいらさんは、一筋縄ではいかない道筋ですがとにかく常に前に進まれているのです。たいらさんの原点は、お父様にガンが見つかり余命3ヶ月を宣告され、食療法に切り替えようと判断された時にありました。お父様のために、無農薬で栄養ある野菜を求めて探し回った結果、どこにもなく買えたのは古くて高い無農薬野菜だけ。現代の食の社会はこんな状態なんだ…と絶望したと同時に、当時背中におぶっていた娘さんが生きる未来を悲観されたそうです。待っていても社会は変わらない、だったら私が変えてやろうという意気込みでNPO法人循環生活研究所を設立し、今に至ります。昨今のSDGsの急速な認知の広がりもあって、25年以上続けてきた食の循環にようやく光が差し始めた今、たいらさんがよく仰るのが先ほどの言葉「私が生きている間に間に合わせたい」。

長くなりましたが、そんなたいらさんと電話で話していると僕自身の考えも前向きに変わっていったのです。そして、もう一度“楽しい”を体験するために行き着いた答えは「るるるガーデンを倍の広さにしよう」というものでした。倍の大きさにして、これまでなんとなく育てていた野菜を販売したり、近隣の飲食店に提供したりして、RKBがある百道エリアを“福岡の循環のモデルケース”にしようと考え始めたのです。そうなると必要になるのは人手です。

しかし、急に参加メンバーが増えるわけではありません。だったらどこかの作業を簡略化しようということで、段ボールコンポストをやめてコンポストの作業を機械化しようと会社に提案したのです。僕の思いを聞いてくれた上司は賛同してくれ、つい先日、機械が導入されました。導入した機械は、油機エンジニアリングさんが販売している「バイオミック」。僕はこの機械に「ミッキー」と名付けました。(いずれディズニーランドとコラボする日を夢見ています。)1m四方のキューブ型の機械は食堂からテラスに出るための間口に入りきれず、なんと駐車場からクレーン車に吊られてテラスに舞い降りました。個人的には新たな夢の始まりだったので、感動の光景でした。機械を導入して1週間後、なんと堆肥の温度は60度を超え混ぜると大量の湯気が出始めました。ここでは言えないくらいの値段がする機械ですので、僕はひっそりと「うまくいかなかったらどうしよう…」とプレッシャーを感じていたのですが、その湯気を見て一安心したのです。

先ほど述べましたように、これは僕の夢の第一歩に過ぎません。この先に見据えているのは「百道の農家が、百道産の野菜を作る“百道ビッグファームプロジェクト”」です。それについては次回また、お話させてください。

百道エリア
平成元年の万博「よかトピア」開催時にオープンした福岡タワーがある場所。それ以前は海だったため埋立地です。今は高級マンションが立ち並ぶ住宅エリア。

THE WRITER

松井聡史 / RKBテレビ制作部ディレクター
松井聡史 / RKBテレビ制作部ディレクター
カメラやパソコンよりも土を触ってる時間の方が圧倒的に長いRKB農園部(自称)。最近の仕事は、生ごみのコンポスト、畑の水やり、除草作業、野菜の販売、そして時々、番組企画書の作成。RKBラジオよなおし堂ではレギュラーでコーナーを持ち、SDGsを発信している。

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