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高島宗一郎・福岡市長に天神ビッグバンとその後の都市の成長を聞く

3月28日(月)にスタートした新番組『田畑竜介 Grooooow Up』、毎週ひとつのテーマを掘り下げる「Weekly Close Up」第1弾は、全国から注目されている成長都市のひとつ、福岡市の高島宗一郎市長のインタビューをお送りしています。初回では高さ制限緩和に伴うビルの再開発が進む「天神ビッグバン」について聞きました。  

「おはようございます」って“あのとき”を思い出します

田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):おはようございます。今日は忙しいお時間を割いていただいてありがとうございます。

高島宗一郎福岡市長(以下、市長):おはようございますって今、久々に“あのとき”を思い出した感じがしました。

田畑:市長はかつて(朝のテレビ番組の司会者として)「おはようございます」って毎日言ってましたもんね。僕は逆に、初めて朝のラジオの帯番組を担当することになってすごく新鮮なんですよ。きょうから4日間にかけて、福岡市の成長戦略について伺っていきます。

「ビルの建て替え時期とコロナ禍が重なったのは結果的に良かった」

田畑:1回目は「天神ビッグバン」そして「博多コネクティッド」に関して。この都市の再開発によって福岡市がどういう成長を遂げていくのか、どういうビジョンを描いているのかっていうところをお話させていただければと思うんですが。「天神ビッグバン」が進んでいますが、ここまでの進捗状況を、高島市長はどのように捉えていますか?

市長:「チャンスに後ろ髪がない」と言われますけれども、後になって「あのときにやっとけばよかった」ってやっぱりないので、打つべきときに打つ、打っていくかチャンスがあったら仕掛けていくって大事で、コロナの後に「ビッグバン」って言ってもやりにくかったと思うんですね。インバウンドも含めて、イケイケ時代にドンと打ち出していったことで、企業も「よし、うちもチャレンジしよう」っていう形になってきたと思うんですね。ビッグバンが始まってから、コロナ禍が起きました。百貨店を含めて人が来ることがなかなかできない、1か所に集まりにくいっていう段階で、福岡ではちょうどビルが建て替え中で、いずれにせよ、閉まっていたんですよね。このタイミングに次の時代、アフターコロナに向けた準備というものが、街としてしっかりできたタイミングというのは結果的に良かったと思います。

市長:またコロナ禍が起きたことで、感染症に対してみんなが意識するようになりました。だから非接触とか、ディスタンスが取れるとか、あと空調、外気をどんどん入れていくみたいな、ハード面の整備を、新しく作るビルが対応してくれたら、福岡市としていろんなインセンティブつまりメリットが企業にあるように、物を出しますよっていうことを打ち出すことができました。だから、これから大きなビルもどんどんできますけれども、感染症対応というものを含めて生まれ変わっていく。そういう意味ではピンチをチャンスに変えていくというか、非常に順調に進んできてます。オフィスの需要が増えないんじゃないか、なんていう声もあったんですが、そうではなくて、より選択と集中が進んでいくんだから、より感染症対応ができている場所にみんな集中してくるし、逆にそうでないところは、オフィスではなく家からの作業でいい、というふうになっていく。実際に「天神ビジネスセンター」というビルができましたけど、ああいう感染症対応を含めて、いろんな設備がいいビルができて、これまで福岡にいなかった企業がたくさん入ってきてるところを見てもね、例えば10年後、20年後ってなったときに、福岡にビッグバン前にはなかったような企業がたくさん出てきて、そこに関連するビジネスがまた周りに集積をしてっていう感じで。今の子供たちが大人になってもちゃんと働く場所がある、夢を叶えられる場所が福岡にある、東京に行かなくても大丈夫っていう、そんな街を作っていければっていうものの布石ができているかなって思います。

ハイクラス層を呼ぶことで九州全体に波及効果も

田畑:天神ビッグバンの一環で、12月には大名小学校跡地に再開発ビルが完成して、来年の春にはリッツ・カールトンが開業するという予定ですが、これによって福岡市はどういうメリットが受けられるんでしょうか?

市長:「リッツがある街」ということになるわけですけども、福岡ってインバウンドをたくさん増やすということをやってきました。このまま数ばかり増やしていくのかっていうと、やっぱり限度があるわけで、平たく言うと、よりお金を落としてくれる層がもっと来た方がいい。そのときに、リッツなどができることによって、例えば学会にしてもよりハイクラスのものが福岡にやってきてくれるとか、もしくは、今誘致に名乗りを上げているG7のような、ああいう世界のスーパーVIPをおもてなしをする場所がちゃんとあるぞ、ということになると、福岡のみならず九州全体にも大きな波及効果があるだろうと思っています。

建て替えの誘導の仕方が異なる博多駅周辺

田畑:天神ビッグバンを進めている一方で、博多コネクティッドで博多駅周辺の再開発を進めてるんですが、これは天神と博多とで違う街の魅力を作ろうとしてるんですか?

市長:ざくっと言うと、天神はビルを高くすることによって、建て替えを促していこうということだったんですが、博多駅周辺はビルを高くすることはできないんですよ。空港が近いので、高さの規制が天神よりもっと厳しいんです。では、どうすれば博多駅周辺のビルを建て替えられるかって考えたときに、例えば2つ、3つのペンシル型のビルをまとめてひとつにすることによって、全体の中で公共スペースをゆとりを持って取れるとか、非常に使い勝手の良いビルに生まれ変わらせることができます。それによって、高さは高くならないけども、街の中に公開空地のような、広場みたいな憩える場所がたくさんできてくる、こういうプラスがあるっていうようなやり方、建て替えの誘導の仕方が天神と博多とでは違ってきてるんですよね。

田畑:土地の特性というものをしっかり生かしながら、それぞれの街づくりすることによって、そして来年3月には、地下鉄七隈線が延伸されることによって、天神と博多がまた新たに結ばれるということで、有機的に絡んで成長していくことをすごく楽しみにしています。

市長:七隈線もまもなく繋がりますし、新しく「櫛田神社前駅」っていうのもできて、そうすると福岡の南西部の辺りから、博多まで一本で繋がりますので、これで天神・博多を含めて福岡全体が、大きくそれこそGrow Upしてくれることを期待しています。

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