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祖国チェコへの愛「スラヴ叙事詩」 実の娘をモデルにしたミュシャ後半生の大作

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福岡市美術館で、19世紀末のヨーロッパで一世を風靡した画家アルフォンス・ミュシャの展覧会が開かれています。愛国心を忘れないミュシャの思いが詰まったポスターに迫ります。


◆子供と成人と老人 世代を並べて
竪琴をひく女の子がこちらを見ているポスター。ミュシャの後半生の大作で、生まれ育ったチェコへの愛国心を表現した作品「スラヴ叙事詩」の展覧会が開催されたときのポスターです。

美術史家 小柳由紀子さん「かわいらしい女の子が竪琴をひいているんですが、後ろにいるのはスラヴの守護神。軍神(戦いの神)であると同時に豊穣の神で、手に持っているのはお酒が入った牛の角。ミュシャはここでは、それぞれ年代の異なる若い子供と成人と老人の姿で顔を描いています」


◆娘を撮影してから写し取る手法で
実はこの女の子のモデルは、ミュシャの娘です。同じポースをとった娘の写真も残されています。

美術史家 小柳由紀子さん「当時写真が一般化してきて、モデルを長く立たせたり、ポーズを取らせて描く必要がないので、ミュシャは全体の構図の中で人物のポーズを決めて、そのポーズを取らせて写真を撮って、正確に十字に碁盤の目のように線を引いて写し取った。写真だけでも2000点残っているそうです」


◆美術館で撮影可能
花の装飾や明るい色遣いの中に、民族衣装やスラヴの守護神などを融合させたこの作品。フランス・パリで華やかに成功を収めたミュシャが、祖国への熱い思いを忘れなかったことを物語っています。「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」は6月4日まで、福岡市美術館で開かれています(月曜休館)。会場内の全作品を撮影できます(フラッシュ・動画は不可)。

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