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福岡県出身97歳の料理研究家『桧山タミ』さんの台所とは⁉家族の命と健康さえ守ればいいんだから…がんばらない台所‼

テレビ

桧山さんが伝える日本の家庭料理の魅力

「大変と思うとごちそうやないよ。楽しんで作ったのはごちそう。頑張らんでいいよ。作る人の愛情、美味しいものを食べさせてあげたいと思う心が一番大切やないかな・・・」 
西部ガスのCMでお馴染みの料理研究家・桧山タミさん。現在97歳の桧山さんは4年前に料理塾を閉じるまでの約59年間、福岡市内で桧山塾を運営し、1000人を超える生徒に料理を教えてきました。常日頃から桧山さんは「料理は頑張るものやないと。家族の命と健康さえ守ればいいんだから」と、桧山塾を通して「がんばらない台所」を伝え続けてきました。

1926年に福岡県に生まれた桧山さん。17歳の時に日本の料理研究家の草分けとして知られる江上トミさんに師事し、その後独立。3年後には、3か月以上かけて中東やアフリカなど17か国以上を巡り、各地の食文化や食材を学びました。当初はフランス料理や洋菓子を中心に教えていましたが、ある時「料理は気候風土にあわせて作られていること」を実感。「日本の気候風土にあった料理を教えていない。日本人の心を捨ててしまっているような料理を教えたかと思ったらすごいショックだった」と感じたそう。それ以来、日本の家庭料理の魅力を伝えることにしたと言います。

桧山さんの活動は料理を教えるだけでなく、新聞での執筆やテレビ出演など多岐にわたります。4年前にRKBのテレビ番組に出演した際には、家庭料理について「好みがわかるから、作るから美味しい」と話した桧山さん。「食べる人のことを思って作ると美味しい。食べるもので心も体もできている。思いが伝わっていく」とレシピだけではなく、家族に対する思いや生き方も伝えていました。 
また最新の著書『97歳 料理家 タミ先生の台所おさらい帖』では大切に使ってきた道具を振り返りながら、桧山さんの料理に対する思いを記しています。 

97歳 料理家 タミ先生の台所おさらい帖
(文藝春秋)
1,870円

6月12日まで大丸福岡天神店で「桧山タミ台所展」開催中

現在大丸福岡天神店では、桧山料理塾の門下生の企画で、桧山さんの「台所」を紹介する展覧会「桧山タミ台所展」が開催されています。   
9か月前から準備を進めてきたという「桧山タミ台所展」。中心となっているのは、20年ほど前に生徒となり、今は福岡市で調理道具のお店を経営している田中文さん。田中さんは桧山塾が閉じられた後も時々桧山さんに会いに行って、ノートや道具を整理していました。その中で、たくさんの資料があるのに桧山さんの思いが受け継がれないのはもったいないと思い、展覧会を企画したのだそう。桧山さんも「皆さんのお役に立つなら・・・」ということで開催が決定しました。  

5月25日に桧山さんの自宅では、食器の梱包作業が行われました。作業を行う中で生徒の皆さんが思い出すのは桧山さんから学んだ言葉の数々。「手料理を作ることは愛情を伝えやすい。おにぎりでもサンドウィッチでもいいから自分で作ることを教わった」「玄関まで送ってくださる時に、頑張らんでいいとよ、無理せんでいいとよと言ってくださって度々思い出す存在」と桧山さんに対するそれぞれの思いを話してくれました。

今回の展覧会の資金はクラウドファンディングで集め、目標金額を上回る900万円以上が全国から集まりました。 
展示されているのは、銅製の鍋やおひつ、料理のレシピ、愛用のエプロンなど長年大切に使われてきた調理道具など。その他にも、旅先で記録してきたレシピなども展示されていて、桧山塾の台所そのものが再現されています。
展覧会を訪れた人は「使い込まれた道具がすごい」「物を大事にするという気持ちを学びたかった。修理されていた跡があったりきっちり手入れもされていたりとすごいと思う」と感動。
田中さんは「桧山塾は寺子屋みたいな暮らし方、生き方が学べる人生塾のようだった。皆さんにも1日桧山塾生になってもらって、自分にとって大切なものを見つけてもらえるといいなと思う」と話しました。

「桧山タミ台所展」は6月12日(月)まで開催中です。

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