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宇宙ビジネスで世界を目指せ“銀河鉄道999”ゆかりの北九州市 衛星制作で連続世界一の大学も

「スペースワールド」「銀河鉄道999」――宇宙にゆかりがある北九州市は、成長戦略に「宇宙産業の集積」を掲げています。未来の産業は根付くのでしょうか。

モノづくりの街・北九州市にある国立大学法人


「ここで、人工衛星を作っています」

北九州市戸畑区の九州工業大学。宇宙システム工学科の研究室では、2024年6月に打ち上げる予定の人工衛星「YOTSUBAーKULOVER」の開発が進められています。

九州工業大学4年 小中美海さん「磁場センサーの展開機構を開発するのが一つのミッションになっています」

この衛星は、地球の磁場の観測や宇宙からオーロラを撮影する、という役割を担っています。

6年連続で「世界一」11年間に27の人工衛星を開発


「3、2、1、0…ゴオオオオ」

九州工業大学は、2012年から2023年5月までに、27の人工衛星を開発しました。宇宙で稼働している「小型衛星」と「超小型衛星」の数は、大学や学術機関の中では6年連続で世界一です。研究を支えているのが、「世界初」という超小型衛星の試験センターです。宇宙と同じ環境を再現し、振動や熱に耐えられるか実験することができます。

九州工業大学大学院2年 篠崎海人さん「温度差の環境だとか、宇宙の真空状態を機械で模擬することで、宇宙に衛星が行ってちゃんと動作するのかを地上で確認するための試験になります」

ロケット打ち上げ失敗も…


ただ、すべてが順調というわけではありません。2022年10月には、九工大が開発した人工衛星を乗せたロケットの打ち上げが失敗しました。宇宙産業で結果を出すには、失敗してもやり直せる環境作りが何より大切だといいます。

九工大大学院工学研究院 北村健太郎教授「うまくトライ・アンド・エラーが繰り返せるような環境を市で作っていただければ、産学官連携で宇宙産業を盛り上げていくことは北九州で十分やれる」

宇宙産業の市場規模は現在40兆円と言われていますが、20年後には100兆円以上に拡大すると見込まれています。

北九州市も「宇宙産業推進」予算を計上


武内和久・北九州市長「宇宙産業に挑戦していく。産業構造的にも地理的にも、北九州市にはビッグチャンス」

北九州市は2023年度予算案に、宇宙産業を推進するため2400万円を計上しています。人工衛星のデータを活用する実証実験を行い、ゆくゆくは衛星の開発や製造拠点を目指していく考えです。

宇宙で使われる「ファインセラミックス」


北九州市には、宇宙ビジネスで存在感を示している企業もあります。1919年創業の黒崎播磨(本社・八幡西区)は、製鉄所の高炉に使われる「耐火レンガ」や半導体などに使われる「ファインセラミックス」を製造しています。この「ファインセラミックス」は人工衛星にも活用されています。

RKB浅上旺太郎「手に持った感じは、金属よりも軽いくらい。石と同じ重さがある気がします。曲げてみます……びくともしません。絶対割れない」
黒崎播磨 ファインセラミックス品質技術グループ 石飛圭吾グループ長「人工衛星や、宇宙用の光学望遠鏡の部品に使われます」

ファインセラミックスは高温でも大きさがほとんど変化しないため、温度変化が激しい宇宙空間に適した素材です。また、軽くて鏡に加工できるという特徴があります。
こちらはJAXAから受注した、人工衛星に取り付ける望遠鏡の鏡の試作品です。JAXAからは「宇宙に行くための耐強度テストはクリアした」とお墨付きをもらったそうです。

様々な可能性を秘めた「宇宙ビジネス」


Q.地元自治体の動きをどう見ますか?
黒崎播磨 ファインセラミックス品質技術グループ 石飛圭吾グループ長「非常に面白い。我々がいかに宇宙産業に入っていけるか、これからの勝負になるのかな」

様々な可能性を秘めた宇宙ビジネス。「ものづくり」の街・北九州市がその中心地となれるのか注目されます。

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