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医療が変わる⁉シルクのちから

アメリカの医療業界で進められている「ワクチン接種器」の開発プロジェクトに熊本県のある製品が使用されている。現在、ワクチン接種は注射器を使用するスタイルが主流だが、研究中のものはスタンプを押すように使う、パッチ型。専門的な知識がなくても簡単に扱う事ができるため、感染病の大流行時に家庭で接種できるようになるなどの「進化」が期待されている。
この接種器に欠かせないのが体内にワクチンを取り入れる際に必要な、シルクに含まれるタンパク質。

採用されたシルクは山鹿市の「あつまる山鹿シルク」が製造するものだ。
絹糸を生み出すカイコは、外部の雑菌は入らない完全無菌状態かつ生育に最適な温度や湿度を徹底管理された独自の環境下で飼育されているため、高品質な繭やシルクを一年中生産できるという。当初は衣料としての活用を目指していたが、シルクを構成するタンパク質が人間の肌に合うことから医療業界が着目。
社長の島田裕太(43)は、予想外のニーズに驚いたと話す一方で付加価値が高い医療分野の活用に期待を寄せる。「シルク」の新たな可能性を模索する姿を追った。

取材先:あつまる山鹿シルク
代表者:島田裕太さん
住所:熊本県山鹿市鹿北町芋生4041
HP:https://atsumaru-silk.jp/index.html

取材後記

注射針が腕に刺さる時の緊張感、そしてチクっとする痛み、何度受けても慣れません。
そのストレスが無くなるワクチン接種器は個人的にも、とても待ち遠しいです。
今回取材した山鹿は温泉が豊富で、街並みも風情があり、山鹿灯籠という伝統的な行事も受け継がれている、とても魅力的な地域です。
しかしながら人口減少や高齢化に伴う過疎化も深刻な問題にあり、あつまる山鹿シルクの島田さんは地域の活性化への思いも強く持たれていました。
養蚕業はビジネスではありながらもカイコのことを「カイコさん」と呼ぶ島田さんからは地域、そしてカイコに対する愛情の深さが伝わってきました。

 

(RKK熊本放送 内藤 郁美)

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