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「地元の人もほとんど知らない」糖度15度のナシ 「甘さ」に魅せられ農業に参入した若者も

4年前、福岡県内の農家限定で苗木の販売が始まった新品種「玉水」をご存知でしょうか。2022年、少量ながら市場デビューを果たしました。出荷2年目の今年もその甘さと希少性から高値で取引されていますが、地元でもその存在はまだあまり知られていません。

福岡県が10年かけて開発した新品種


福岡県朝倉市でナシを生産している小島達朗(25)さんは、3年前、22歳で造園会社を起業すると、ほぼ同時に農園を買い取りナシの生産を始めました。農業に参入するきっかけになったのが福岡県が10年もの年月をかけて開発したアカナシの新品種「玉水」です。

福岡県が、「稼げる農業」の目玉として開発した「玉水」 最大の魅力は、その甘さです。

RKB田尻貴博記者
「高いものだと糖度15度にもなるというこの玉水、いただいてみます。うわー、みずみずしくてとても甘いです!」

福岡県の主力品種「幸水」よりも3度ほど糖度が高い「玉水」 小島さんは、甘いナシに魅せられ農業の将来性を感じました。この商品力にかけてナシ農園にもともと植えられていた「幸水」から「玉水」への植え替えを進めています。

「玉水」を生産する小島達朗さん
「ナシはやっぱり雨で糖度が左右されるんですけど、玉水は雨が降っても糖度がのって甘い。そこはやっぱり強みかなと思います」

地元福岡県でも購入できるのはわずか3か所


生産開始から日が浅く収穫量も少ないことから、まだほとんど市場に出回っていない「玉水」 福岡県内でも3か所でしか買うことができません。福岡市内のデパートに並んでいた「玉水」は、1玉600円を超える価格で販売されていました。

南国フルーツ岩田屋店 坪内祐店長
「通常の幸水と比べても味も美味しいので、すごく人気でよく売れています。新品種ということで、珍しさも含めてちょっと値段を高めに設定しています」

「海外の人にも食べてほしい」


福岡県の主力品種、「幸水」より100円高い価格設定ながら客の反応も良く、リピート購入も多いといいます。一方課題は「知名度の低さ」です。「玉水」をきっかけに農業に参入した小島さんもブランドのPR強化と味を確かめてもらう取り組みが必要だと感じています。
「玉水」を生産する小島達朗さん
「ナシといえば玉水だと認知してもらえるようにしたいです。国内で広まるのはもちろんですが、海外にも『日本のナシはこんぐらい美味しいんだぞ』というのをアピールして、ぜひ食べてほしいです」

5年後には多くの店頭に並ぶ予定


今は、福岡県全体のナシ生産量の1%にも満たない「玉水」 木の生長とともにこれから収穫できる量も増え新品種としての希少性も徐々に薄れていきます。多くの小売店で目にするようになるまで5年から10年ほど。「玉水」は、福岡県産ナシの「看板ブランド」、そして「稼げる農業」の象徴になっているでしょうか。

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