「妹の先生に憧れて」特別支援学校の教員目指す大学生 ダウン症児を支援するボランティア
特別支援学校の教員を目指して、ボランティア活動に取り組む学生がいます。この学生たちが参加した2泊3日の療養プログラムを取材しました。
目次
「ダウン症」出生児の600~800人に1人
元気いっぱいに走るダウン症の子供たち。将来、自立することを目標とした療養プログラム(2泊3日)に、福岡県内から12人が集まりました。ダウン症とは、染色体の異常が原因で発症する疾患で、出生児600~800人に1人が発症すると言われています。プログラムにボランティアで参加している福岡教育大学4年の西村真由子さん(21)は、特別支援学校の教員を目指しています。
ダウン症の妹を教える先生に憧れて
三重県で、3姉妹の長女として生まれた西村さん。ダウン症の妹がいます。西村さんが小学6年の時、妹の悠さんが同じ学校の特別支援学級に入学してきました。
西村真由子さん「妹が持って帰ってくる宿題が、私がやっていた宿題と違って、妹の発達段階に合わせた宿題で」
悠さんがクラスになじめるのか、西村さんは不安でしたが、「担任の先生を見て安心した」と話します。
西村真由子さん「先生がすごく優しくて。妹のゆっくり成長するペースに合わせた支援・指導で。『私もやりたいな』と思うようになりました」
「障害のある子たちと関わり生きていきたい」
西村真由子さん「妹が沖縄に旅行に行ったときに、お姉ちゃんにポストカードを送ってくれて。それが超かわいくて」
大学では、特別支援に関する学業に励みながら、デイサービスでアルバイトをしたり、ダウン症の子供をサポートするボランティア団体で活動したりしています。
西村真由子さん「特別支援とか障害のある子たちと関わりながら生きていきたいな、という気持ちがずっとあった」
寄り添いながらの療養プログラム
2泊3日のプログラムでは、ダウン症の子供たちと食事や入浴などを、ともにします。カメラで映されていた1人の男の子がふと立ち上がり、食堂から出ていきました。
追いかける西村真由子さん「カメラの方が来ちゃって、びっくりして心が落ち着かなかったのかな。外に出ていったので、様子を見にいきました。クールダウンできればいいんですけど、何があるかわからないので、できるだけ目を離さないようにしています」
ゆっくりと、でも確実に成長する子供たち
食事の後は、待ちに待った演芸会です。子供たちの楽しそうな姿に、保護者からも笑顔がこぼれます。
ダウン症の子「楽しいです、演芸会が楽しかったです」
保護者「小学2年生の時に始めて来た時は下を向いて、人前で発表するようなことは全然できなかったんですけど、やっぱり年々重ねていくうちにあそこまで成長できたのかなと」
Q.明日はなにが楽しみ?
ダウン症の子「運動会、明日もお願いします」
運動会の楽しい時間が過ぎていく
西村真由子さん「運動会を始めたいと思います!」
ダウン症の2人「頑張るとね。(僕らも)頑張ろうね」
障害物競争で司会をする西村真由子さん「ただいまの結果、コスモス組さんが一番でしたー!」
最後はみんなで踊って、運動会は終了です。
Q.どうだった?
ダウン症の男の子(ハイタッチで返事)
Q.また来たい?
「うん」
「生まれてきてくれてよかった」ダウン症の子を持つ親
保護者「この子のいいところがよく出てるような気がする。お姉さんのおかげかなと思います」
日本ダウン症協会福岡支部支部長 原武史さん「キャンプで学生さんが関わって、『この子たちはすごい天使なんだ』と分かってくると思う。我々親たちも『なんでうちだけ生まれたんだろう』という思いがありましたけど、今に至っては『生まれてきてよかったな』と」
西村真由子さん「去年よりもできるようになった子たちがかなり多く見られた。みんな楽しそうに過ごしていたので、すごくよかったなと思います」
教員の立場で続ける支援
8月に行われた教員採用試験の結果を待つ西村さん。採用となれば、半年後には特別支援学校の先生として教壇に立ちます。
西村真由子さん「一人一人、成長や目指すところは違うので、『その日は楽しかったな』と思えるような支援ができたらいいのかなと」
この後、西村さんには教員採用試験合格の知らせが届きました。障害を持つ子が自分らしく楽しい日々を送るため、次は先生という立場で支援を続けていきたい、と話しています。
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