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伝統の焼き窯で文化を守る!最高品質の漆喰

全国屈指の石灰石生産量を誇る大分県津久見市の老舗企業『丸京石灰』は、明治28年(1895年)創業の石灰メーカーで、鳥越繁一さん(59)が5代目の社長を務める。商品は肥料用や工業用、食品添加用の消石灰など多岐にわたるが、メインは伝統技法で製造する最高品質の漆喰製品だ。


丸京石灰の漆喰は、創業以来の窯に熟練職人が石灰石をくべてコークスと塩を入れ3日間かけて焼き上げる「塩焼き灰」を使用している。重油を使って短時間で焼く一般的な「オイル焼き灰」と比べて「塩焼き灰」はひび割れが少なくふっくら仕上がるという特徴がある。

 

高い品質が評価され世界遺産の姫路城(兵庫県)や首里城(沖縄県)、大浦天主堂(長崎県)など全国の文化財修復工事に使用。さらに、奈良県で進められている平城宮を復原するプロジェクトでも丸京石灰の「塩焼き灰」が採用された。


日本の文化を守るためにも漆喰製造の技術を伝承し、世界市場を見据えて漆喰や石灰製品の拡大に取り組みたいと考える鳥越社長。長男の基克さん(31)は漆喰塗りのワークショップを開催し、新商品のアイデアを考えるなど、親子二人三脚で更なる漆喰の普及を目指す。

企業名:株式会社 丸京石灰
代表者:鳥越 繁一さん
住 所:〒879-2474 大分県津久見市徳浦2052-5
電 話:0972-82-5271
ホームページ:https://marukyosekkai.com/

取材後記

「石灰石」は皆さんが知る鉱物だと思いますが、どのようなものに使われているかと聞かれると何が思い浮かぶでしょうか?取材前の私は、セメント、運動場の白線、鳥インフルエンザ対策の消毒などぐらいしか思い浮かびませんでした。

 

鳥越社長との打ち合わせで乾燥剤、農業用の肥料、医薬品の材料、鉄の生産のほか、焼却施設での有害ガス発生の抑制、さらには砂糖やこんにゃくの製造にも使われていると聞き、失礼ながらも社長の話に「本当ですか?」を連呼してしまいました。

 

また、打ち合わせ後、石灰石を燃焼する土中窯を見せていただき、時間をかけて作る漆喰の製造過程を伺った時も驚きの連続でした。数年おきのタイルの張替えや屋根の架け替えなど土中窯は維持するだけでも大変だと言いながらも誇らしげに窯の説明をしてくださる鳥越社長のお顔は忘れられません。


そして、もう一つ私が驚いたことが「石灰石は国内で自給自足出来ている」という事実です。日本有数の産地である大分県津久見市には、まだ、約100年分の埋蔵量があるそうです。そのような中、鳥越社長は様々な性質を持つ石灰が数十年後、これまでにない新たな用途として使用される可能性もあると言います。伝統を引き継ぎながらも石灰の可能性を信じて新たな展開も探る丸京石灰の今後がとても楽しみです。


(OBS大分放送/伊東 武紀)

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