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鹿児島発!イタリア伝統菓子に挑む

「パネットーネ」をご存知ですか?イタリア語で“大きなパン”を意味するパネットーネは、イタリアのミラノが発祥と言われる伝統菓子。クリスマスの時期になるとお気に入りのパネットーネを買い、少しずつ食べるのが定番だとか。そんなパネットーネに魅了された人がいる。

 

鹿児島市でベーカリーを営む上原力さん(41)。4年前に本格的なパネットーネを食べ、あまりのおいしさに感動して「自分でも作ってみたい!」と、手探りでパネットーネ作りを始めた。しかし、パン作りで積み上げた経験が通用しないのがパネットーネ。

 

その理由は「天然酵母」を使うという製法にある。生地が思うようにふくらまず、ことごとく失敗。寝ても覚めてもパネットーネについて考える日々が続いた。1年がたち、上原さんはようやく独自の作り方を確立し店での販売をスタートさせた。

 

その後、パネットーネのおいしさをもっと伝えたいと国内のコンテストに出品したところ、チョコレート部門で優秀賞に輝き、世界大会に日本代表として出場することに。本場イタリアでも通用するパネットーネを作りたい。その一心で世界大会に向けてさらなるレシピ改良にのめりこむ上原さん。果たして、その結果は・・・?

店舗名:TAK(タック) BAGERI(バゲリ) MEL(メル)
住 所:鹿児島県鹿児島市武岡4丁目20-1
電 話:099-298-5966

取材後記

「なんておいしいパンなんだ!」そう思い、通うこと10年。実は、今回取材した上原さんのお店「TAK BAGERI MEL」は、開店当時から通っている大好きなお店でした。

 

SNSで人気を知った人、帰省してどうしてもここのパンが食べたいと久しぶりに訪れた人、近所の常連さん。店内はいつも上原さんの作るパンに魅せられた人でにぎわい、それぞれがトレーを片手に、きょうはどのパンにしようかとうれしそうに見つめていました。


そんな幸せな空間に、ある時から見知らぬ文字が。それが“パネットーネ”でした。食べてみると、これまでのパンとは違う、ほろほろと口の中で溶けるような食感。そして、バターやフルーツの贅沢な香り。一口食べ始めると止まらなくなるおいしさでした。


作り方を聞くと、生地の発酵を繰り返し完成までは4日かかるとのこと。細かい工程を聞いても1度では理解できず何度も質問しましたが、その度に「ややこしいですよね。僕も今どの工程かわからなくなる時があります」と、笑いながら丁寧に説明してくださる上原さん。

 

長年かけて少しずつ知り得たパネットーネの秘密を、惜しみなく伝えるその背景には“パネットーネをもっと広めたい”という純粋な思いがありました。世界大会に向け、寝食を忘れてパネットーネ作りに打ち込む姿には、倒れてしまうのではと心配になりましたが、まだ謎に包まれた部分を解きたいと探究する上原さんは、とても楽しそうでした。


まさに、上原さんの人生を変えた“パネットーネ”。

この放送を機に、パネットーネに興味を持ってくださる方がいらっしゃれば、とてもうれしいです。


(MBC南日本放送/岡積 奈津子)

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