焼き鳥店のメニューで、たまに見かける希少部位。一体、どのくらいの種類があるのか気になったことはありませんか。そこで、焼き鳥王国・福岡なら、希少部位ばかりが食べられるお店があるのか調査してみました。
希少部位「こころのこり」とは?
まずは、焼き鳥ダービーで2票だけ入った「こころのこり」という希少部位を置く「焼鳥とりぃと」(福岡市中央区赤坂)へ。

「こころのこり」とは、心臓と肝臓をつなぐ、血管の部分。お店によっては「ハツモト」や「つなぎ」と呼んでいるところもあるそうです。つまり、心臓の残り部分だから「こころのこり」と呼んでいるのだとか。
福岡なら、最高何種類の希少部位が食べられる?
一般的な焼き鳥店には、10種類前後の焼き鳥があります(番組調べ)。しかし、農林水産省が定めている鶏の部位は合計16種類。これに希少部位も合わせると、もしかして、もっと数が多くなるのでは……?

調査に向かったのは「鳥鶏研究団」(福岡市博多区博多駅前)。このお店では、提供している部位を鶏のイラストでわかりやすく解説しています。その数、合計26種類! 希少部位が他にないかと研究した結果、この数に落ち着いたのだといいます。
では、希少部位はどのくらいあるのかというと……。砂ずりの柔らかい部分の「えんがわ」や肺の「ふあ」、鶏の精巣「白子」など、次々に出てきました。
検証!焼き鳥で鶏を丸ごと味わい尽くせるか
ここまできたら、鶏を丸ごと食べ尽くしたい。そこで向かったのが「焼き鳥 貴」(福岡市中央区高砂)です。なんと、ここでは、鶏を一羽丸ごと仕入れて店でさばいています。

ダメモトで、店長の細永貴志さんに「鶏の部位を余すことなく焼き鳥にしてほしい」とお願いしてみることに……。前代未聞のオーダーですが、なんと快く引き受けてくれました。「食べられない部分はほぼない(おいしいかどうかは別として)」との細永さんの言葉に、期待が高まります。
そして出来上がったのがこちら。なんと、全部で44本もあります!

なかでも、細永さんいわく超激レアな串は「あか」。もも肉の中でも一番赤身が濃い部分で、鶏肉というより牛肉に近い食感が楽しめます。
また、「ひざ」は出しているお店はあまり少ないのでは? とのこと。細永さんも久々に焼いたそうです。

ちなみに、番組スタッフが一番気に入ったのは「リードボー」。リンパ組織のひとつ、胸腺の部分で、一羽から2串しかとれない希少部位なのだそうです。味の確認はぜひお店で!

「焼き鳥 貴」さん、ありがとうございました!
※店頭では単品の注文はできません
焼きトリビア
ねぎまの「ま」とは?
ねぎまの“ま”を、「間」の「ま」だと勘違いしている人もいますが、実は違います。
答えを教えてくれたのは、鍋料理店「鍋ばた 新川橋」(福岡市中央区渡辺通)店長の堀田舜介さん。なんと、ねぎまの「ま」は、マグロの「ま」なのです。
なぜなら、もともと「ねぎま」とは、ねぎとマグロを串に刺し、鍋で調理したものだったから(※諸説あり)。時代の流れにつれ、高価なマグロを安価な鶏肉で代用するようになり、いつしか「ねぎま」の焼き鳥が誕生したらしいです。
しかし、一方で、名店「家康」の営業統括マネージャー・瀧下光さんからは別の証言が。なんと「家康」の「ねぎま」は、創業当初は「豚バラ」だったとのこと。豚バラの「間」に玉ねぎを刺すから「ねぎま」と呼んでいたそうですが……。

焼鳥には旬がある
筑紫女学園大学名誉教授の中村萬里先生いわく、焼き鳥には旬があるとのこと。

その昔、焼き鳥は「鶏」ではなく「鳥」、つまり、ひよどり、うずら、すずめなど、小型の野鳥を提供していたと言われています。

その中でも人気だったのが、冬のみ食べられる「寒すずめ」。越冬を控えたすずめのことで、脂がのっていて美味しいのだとか。

そんな「寒すずめ」を今でも提供しているのが、京都にある「お食事処 稲福」(伏見稲荷神社裏参道)です。冬のみのメニューだと、お店の方も教えてくれました。
昭和30年代以降は養鶏技術が発達し、鶏が流通したことで今のスタイルに落ち着きましたが、確かに焼き鳥には「旬」がありました(※ただし、昭和30年代以前)。
まだまだ知らない焼き鳥の秘密が、福岡には眠っているかも?
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