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AI時代に大切にしたい姿勢

取材の要約から夕食の献立まで、AIは今や私の暮らしに欠かせない存在だ。手軽さや便利さを実感する一方、ときに不安を覚えることもある。先日、打ち合わせ用のVTRを見ていて驚いた。先輩アナウンサーが、北九州市の小倉を「おぐら」と読んだのだ。「あの先輩がなぜ」と思ったが、実はそのナレーション、声を学習したAIだったのだ。トーンや息遣いまで本人そっくりで、疑う余地もなかった。読み手の手配もなく、原稿を入力すれば、深夜でも瞬時にVTRが完成する。その精度と手軽さに感心する一方で、これから人間にしかできないことは何かと考えた。

 

そんな時、ラジオで朗読した中学3年生の作文を思い出した。絵の具を誤ってこぼした失敗をきっかけに、思いがけず深みのある作品を生み出した経験から「AIが躍進する今、人間の強みは失敗すること。そして、それをいかす力だ」と力強くつづられていた。

 

誰もが高度な知性にアクセスでき、速さや正確さが求められる今。ミスや遠回りは、できるだけ避けたいものだが、失敗から気づきを得て、新たな価値を生み出す力は、人間ならではだ。


驚くほどのスピードで進化するAIの力を借りながらも、失敗を恐れず次の一歩につなげる姿勢を、大切にしていきたい。


10月24日(土)毎日新聞掲載

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武田 伊央

RKBアナウンサー

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