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3年ぶりの「博多祇園山笠」 制作進む人形に込めた思いは 「舁き山笠」はコロナで2度延期

博多祇園山笠(やまかさ)は今年、フィナーレの「追い山笠(おいやま)」など、舁き山笠(かきやま)の行事が3年ぶりに実施されます。舁き山笠を制作する博多人形師は、男たちが山笠(やま)を担いで街を駆ける日に向けて、着々と準備を進めています。
福岡市博多区で12日に行われた、今年の一番山笠・恵比須流の小屋入り神事。舁き山笠の土台となる木材などを清め、祭りの安全を祈願しました。

恵比須流 瀬戸浩隆総務「やっとここまできた。山笠の道具を見に行ったら、現実味が出てきた、という感じですね」

7月に始まる博多祇園山笠に向けて、飾り山笠や舁き山笠の準備が進んでいます。
「それぞれの人形の装束を、着せ付けています」
那珂川市の工房で、飾り山笠の人形に衣装を合わせているのは、博多人形師の白水英章さんです。

「うちは持っている担当が多いので、10~15体くらい作っている」
白水さんは3つの飾り山笠を担当する傍ら、舁き山笠の人形づくりも並行して進めています。
2020年の博多祇園山笠振興会の会見「今年の山笠は、7月1日~15日までの開催を延期し、来年度に持ち越す結果となりました」

新型コロナの感染が日本でも拡大した2020年、博多祇園山笠のすべての行事が延期され、戦後初めて「山笠のない夏」になりました。その時点で既に人形作りを始めていた白水さんは、収入面で大きな打撃を受けることに。しかし一方で、「山笠が再び博多の街を賑わせる日が来るように」という思いも強く、その願いを、山笠の男たちをモチーフにして制作した「おきあがりこぼし」に込めました。

2020年、取材に答えた白水英章さん「来年なかったら、やばいね。貯金通帳を見て、月割で何か月ならまだ大丈夫かなとか計算しました。来年収束して開催されるあかつきには頑張ろうと、(おきあがりこぼしの人形に)”起きらんか”という題名を」
3年ぶりに、山笠のすべての行事が行われる今年、一番山笠の大役を務める「恵比須流(えびすながれ)」と、四番山笠「東流(ひがしながれ)」の舁き山笠を制作する白水さん。人形の手足は2020年、祭りの延期が決まる前に作っていたものです。

博多人形師 白水英章さん「やっぱり作ってて楽しいねと思いますね。見てもらって、舁(か)いてもらって、今の時代は写真が山盛り出るので、背景の一部として『よかね』と言ってもらえればいい」

舁き山笠づくりを楽しむ一方で、ブランクが空いたことへの不安もあるといいます。

博多人形師 白水英章さん「久しぶりやけど『遠いな』みたいな感じで、『ちょっと作り方を忘れたな』みたいな所もあるし、自分自身も『段取り悪っ』と思うところもあるし。一番の大前提は、無事に奉納できれば。みんながけがや病気なくて楽しんでもらえればいいな、と思う」

7月始まる博多祇園山笠。舁き山笠が動き出す日に向けて、博多の街は少しずつ、熱気を帯び始めています。

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