兄を亡くした球児“最後の夏”に挑む~筑陽学園 甲子園を目指し7月に福岡県予選

兄を亡くした球児“最後の夏”に挑む~筑陽学園 甲子園を目指し7月に福岡県予選

高校野球、夏の甲子園の福岡県予選が7月に開幕します。7年前、練習中に倒れて亡くなった兄の思いを胸に、ひとりの高校球児が最後の夏に挑みます。

春夏あわせて3回の甲子園出場を誇る、福岡県の強豪・筑陽学園。3年生の豊田淳也さん、身長191センチの恵まれた体格を生かした力強いバッティングが持ち味です。豊田さんには、この夏にかける特別な思いがあります。

先月、部員たちが豊田さんの自宅に集まりました。この日は、5歳上の兄・幸樹さんの命日です。同じ筑陽学園の野球部に所属していた幸樹さんは、1年生だった2015年5月、グラウンドで練習中にほかの部員とぶつかり転倒。すぐに病院に運ばれましたが、翌日帰らぬ人となりました。次男の淳也さんが、小学5年生の時でした。

豊田淳也さん「その時、自分は小学校でゆで卵の作り方を習っていて、帰ってきたらお兄ちゃんに食べてもらおうと思ってつくっていたんですけど、そこで電話がきて自分はその時は理解できていなくて・・・病院に行ってやっと現状が分かって、すごく辛かったです」

母・ひろみさん「声をかけてあげてくださいって、病院の方から言われて、淳也の目から涙がポロポロと出て、『お兄ちゃん僕を1人にしないで』って言ったのがすごく印象的で」

中学ではエースで4番、筑陽学園でも将来を期待されていた幸樹さんの死は、あまりに突然のことでした。

母・ひろみさん「結局、意識が戻ることなく目を開けることもなく、幸樹の話を聞けなかったので状況が分からなくて、朝『行ってきます』と言った姿が最後になるなんて思わなかったので、突然すぎて」

兄と同じ筑陽学園に進んだ豊田さん。兄が亡くなったことを周りはどう思っているのか、不安な部分もあったと言いますが、強豪校でプレーしたいという気持ちが勝りました。

豊田淳也さん「兄が行っていたのもあったんですけど、個人的にも行きたいと思っていた高校だったので、ここに行くというのは中学生の頃から決めていました。人間的にも成長できるところがあったので良かったです」

「一生懸命戦って終わっていこうと思うので、それはお前たちと一緒だから」

野球部の江口祐司監督。7年前、幸樹さんが亡くなった当時も、監督を務めていました。定年を迎えるため、この夏を最後に退任します。

江口祐司監督「彼の中では、お兄ちゃんの分までと思いながらやってきた部分があるんじゃないかなと思います。彼をしっかり卒業させて、自分もここを卒業するということは、幸樹に対しても最大限やれることをやって終われるんだなという思いではあります」

しれつなレギュラー争いの中、3年間の集大成を見せようと追い込みをかける豊田さん。支えてくれた家族、そして亡くなった兄の思いを胸に最後の夏へ挑みます。

母・ひろみさん「同じ筑陽学園のユニフォームを着て野球をしている姿は、幸樹を重ねてしまうので、幸樹もどこかで見ていて力を貸してくれているといいなと思いながら、淳也は淳也でしっかり頑張ってほしいと思います」

豊田淳也さん「自分の野球している姿を見てもらったのは数回だったので、その数回だった時よりも成長している姿を見せられたらいいなと思っています」

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