PageTopButton

「九州北部豪雨から5年」復旧農地で初めての耕作 一方で担い手不足も・・・福岡・朝倉市

福岡県と大分県で40人が死亡、2人が行方不明になっている「九州北部豪雨」から、5日で5年です。甚大な被害が出た福岡県朝倉市では、いまも復旧工事が続いています。ふるさとを離れた人たちも少なくない一方で、行政と連携して魅力ある集落にしようと住民たちは前を向いています。  

九州北部豪雨で40人死亡、2人不明

朝倉市の黒川地区。山々に囲まれたのどかなこの地域を、5年前、未曾有の豪雨が襲いました。
九州北部豪雨。福岡県と大分県で40人が死亡、2人がいまも行方不明です。黒川地区に設置された雨量計では、9時間で774ミリの雨を観測、集落は濁流にのみ込まれました。
あの日から5年が経ち、ようやく一部で工事が完了し耕作が始まりました。

米作り再開も問題に直面

担い手不足も課題

農家 林利則さん「待ちに待ったものができ上がったかというような感じですけれども」

今年から米作りを再開した林利則さんです。しかし、早くも問題に直面しています。
林利則さん「石混じりの土手を作ったがゆえに、だんだん崩れてきて、最終的にはもうブルーシートをかけざるを得ないと。何か所もそんな感じですね。」
土手にはいくつもの石が・・・、石と石との隙間をぬって水が流れ出るため、土手が崩れやすくなっています。さらには・・・
林利則さん「埋まったんです。それで、もうトラクターが前にも行けん後ろにも行けんってことで、向こうから重機で引っ張ってあげてもらいました」
土が柔すぎる場所があり、作業が思うように進まないこともあったそうですが、新しい田んぼで何とかおいしい米を作ろうと試行錯誤を重ねています。
林利則さん「できるだけ、きれいで美味しいお米をやっぱり作らないかんなと思いながら、栽培をしております」

新たな耕作者を支援へ

復旧が進む一方で、こんな風景も見られます。
RKB永牟田龍太「工事が終わっても、草が生い茂ったままで、耕作が始まっていないところもあります」
朝倉市が去年9月に実施したアンケートによると、黒川地区の復旧農地のうち、次の耕作者が決まっているのは約6割で、4割近くの人たちが「誰かに耕作をしてほしいと考えている」と回答しました。

災害をきっかけに、集落を離れた人や高齢で農業を辞めた人が少なくないためです。そうした中、担い手の決まらない農地を借り上げ、関係機関で連携して新たな耕作者を探す取り組みも始まっています。
福岡県農業振興推進機構 林公彦地域推進員「被災以前から中山間地ということで、高齢化が進んで担い手がいないということで農地を貸している方がいたが、それが5年前の災害でさらに拍車をかけると」

新たな耕作者を支援へ

住民たちも奮闘しています。
黒川の農業(未来)を守る会 鳥巣良彦代表「この農地を守っていくために、地元の人間なり携わった人たちが、どう将来像を描きながら一歩一歩前に進んでいくか」
鳥巣さんたちは、新たに黒川地区に来る耕作者をサポートしていこうと毎月、検討会を開いています。
鳥巣良彦代表「農業を好きな子たちが将来こういうところに来られて、将来生業として農業で飯が食える。そういう風な形まで我々は何かしらのサポートしながらでも、黒川王国を作らんと。農に関してはあそこが最高やろうとか、そういう声がいたるところから出るような地域にしたい思いがあります」

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

radiko 防災ムービー「いつでも、どこでも、安心を手のひらに。」