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切実!パート年収「106万円」の壁 扶養外れて働くスタイルを選ぶ人も 制度変更で

家計に大きく関わる制度変更です。パートタイムやアルバイトで働く人たちにとって社会保険の加入に関係する年収130万円と106万円、2つの壁があります。10月から制度が変わったことで扶養を外れたり、仕事を減らしたりするなど働き方の見直しが大きな問題となっています。

最低賃金引き上げでも「収入が増えない」

10月から全都道府県で最低賃金が引き上げられました。全国平均は過去最大の引き上げ幅(31円増)となる「961円」、福岡県は30円増の「900円」となっています。※東京は1072円(31円増)
しかし、「最低賃金が引き上げられても、収入が増えない」という声も――。

もう少し稼ぎたくても「130万円の壁」

「働きたくても130万円の壁があると、ちょっとセーブしちゃうところがある。枠を超えないように調整しながら働いている」

いわゆる「130万円の壁」です。パートタイムで働く人は、給与収入が130万円を超えると配偶者の社会保険上の「扶養」から外れ、自ら社会保険に加入して保険料を納めなければなりません。したがって、130万円を超えないようにセーブするというのです。

「もっと働ければいいんですけど、(130万円の壁を)なくしてもらえれば。(Q.働きすぎた次の日は?)働くのやめようと」
「働いてほしいけど、金額の設定があるから、なかなかうまい具合にはいかないですね」

年収130万円の壁について政府は――。

山際大志郎・経済再生担当大臣「制度改正は、議論しています。現段階で決まったものがあるわけではありませんけれど、問題意識は共有しています」

大きく変わった「106万円の壁」

パートを悩ます壁はこれだけではありません。年収106万円の壁について10月から制度が改正されました。

9月までは月額の収入が平均8万8000円以上、1週間の所定労働時間が20時間以上、勤め先の従業員数が501人以上など――の条件に当てはまる場合、雇用保険、所得税、住民税とは別に、社会保険となる健康保険と厚生年金保険の加入対象となり、扶養を外れ保険料を納める必要があります。
この条件が10月から一部変わり、勤務先の従業員数が501人以上から101人以上となりました。社会保険の加入対象者となれば、将来受け取る年金額は増えるものの、同じ仕事量では保険料の負担が増え、手取りが減ることになります。さらに、厚生年金の保険料は労使が折半で支払うため、勤務先の企業によっては新たな負担となるところもあります。

 

パート・アルバイトの半数が扶養外れるピエトロ

福岡市に本社を置くピエトロ。ドレッシングやパスタなど国内ではお馴染みの食品メーカーです。従業員数は約360人。今回の制度改正で対象企業となったため、パートやアルバイトのスタッフに今後の働き方について説明会を開きました。

ピエトロ レストラン事業本部長 中村智弘さん「106万円の壁を越えたくない方に関しては、労働時間が少し減ってしまいますので、その分周りの方でカバーしたり、人員確保が少し難しくなるかなという懸念はありました。期待できることとしては、社会保険の加入でより安心して働いたり、信頼感を持って働いていただけるということが大きいメリットかなと思っています」

夫と、3人の子供を持つ30代の女性です。10月から扶養を外れ、社会保険の加入と今まで以上に働くことを決めました。

「子供も大きくなってこれから教育費とかいろいろかかっていくので、社将来的に自分のこともいろいろ考えた時に、総合していいかなと思ったので、加入を決めました。おうちに帰って家事に支障がない感じで、なるべくはいっぱい働けたらなと思っています」

ピエトロでは9月まで、70人のパートやアルバイトが配偶者の扶養に入って働いていましたが、10月の制度改正をきっかけに約半分、38人のスタッフが扶養を外れ、働き方を見直したということです。

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