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【詳報】売上8750億円のJフロントが「福岡パルコ」を再開発へ~守りから攻めへギアチェンジ

福岡市中心部の“顔”として一等地に建つ「福岡パルコ」が再開発されることになった。運営企業は「これまでの屋号にない新たな価値の創造」を掲げ、福岡市の再開発優遇策を念頭に建て替えを検討している。これによって天神地区のシンボルとして長きにわたって親しまれた旧岩田屋本館は姿を消すことになった。

◆新たな価値を創造する“ユニーク施設”へ
RKB三浦良介「再開発が進む天神地区。天神ビジネスセンターの高さは約89メートルですが、渡辺通りを挟んだ福岡パルコがあるエリアは115メートルまで建てることができます」

再開発の具体的な時期や内容は未定だが、運営するJ.フロントリテイリングは来年3月に不動産開発の新会社を設立し、福岡・天神地区の大型プロジェクトを始動させると話している。

好本達也社長「天神ビッグバンを契機として大型開発プロジェクトを検討・推進しています。大丸・松坂屋やパルコの屋号にはない新たな価値を創造するユニークな商業施設の開発も可能になるものと考えています」

天神ビッグバンの優遇策を受けられる期限は2026年まで。福岡市によると、複数街区にまたがる段階的・連鎖的な建て替えであれば個別に判断するという。

◆Jフロントは「守り」から「攻め」へギアチェンジ
“天神の顔”の将来を担うJ.フロントリテイリングは、全国の主要都市に「大丸」「松坂屋」を13店舗、「PARCO」を18店舗展開する。両事業を合わせたグループ全社売上収益に占める割合は約73%(同社HP)。2021年度の連結売上高は約8750億円だ。

ホームページには好本社長のメッセージとして、コロナ危機対応の「守り」重視から「攻め」へとマインドセットを変えると記されている。

「リアルとデジタルの融合をはかるとともに、オンラインでは実現できないリアルならではの圧倒的な付加価値向上に取り組みます。そのため、リアル店舗の魅力化とデジタル対応強化に向けた投資を積極化します」

好本社長が明かした「ユニークな施設」のヒントはこのあたりにありそうだ。

◆天神のシンボル、6年間の“空き家”も経験
福岡パルコが建物に入る前から「天神の顔」として親しまれた旧岩田屋本館は、1936年に開業した。1999年に学校法人の都築学園グループが買い取ったものの、岩田屋が移転した2004年から6年間、入居するテナントが決まらず事実上の空き家になっていた。

2010年3月、福岡パルコが開業しに再びにぎわいが戻ることになった。その際に、天神地区の14の商業施設が企画したのが「天神開花宣言」だ。ふだんはライバルであるデパートやファッションビルが初めて共同で広告を展開した。当時は2011年に九州新幹線開業を控え、博多駅周辺の開発が急激に進んでいた。そんな中で「天神の顔」の再開をきっかけに人の流れを取り戻そうと必死だったことがうかがえる。

福岡パルコの開業から12年、建て替え検討のニュースに触れた市民に聞いた。

市民「どんな感じか分かりませんけど、時代と共に変わっていくのは必然的ですから。いっぱい店が増えたら嬉しい。」「すごくいいと思います、期待できる」「子供連れで一緒に楽しめるような場所がもっとあったらと思います」「10年後はガラッと変わっているんじゃないかなと思って10年もかからないかもしれない、5年後くらいかな」

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