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「周りが酪農止めている」一斉値上げしても生産者はコスト吸収できず赤字?

11月の値上げで特に注目されているのが牛乳やヨーグルトなどの乳製品です。買いだめができず、購入頻度が高いため影響も大きいと思われますが、節約できない粉ミルクも値上げし、子育て世代を直撃です。  

◆5.5%~10.2%の一斉値上げ
RKB堤千春「紙パックの牛乳など、乳製品が値上げされました。この商品はきのうより20円高くなっています」

乳業メーカー大手3社はきょうの出荷分から牛乳やヨーグルトなどの乳製品を一斉に値上げします。値上げ幅は明治が最大5.5%、雪印メグミルクは最大9.6%、森永乳業は最大10.2%です。牛のえさ代や燃料費などの高騰が主な理由で3社一斉の値上げは3年7ヶ月ぶりとなります。

牛乳やヨールグルトだけではありません。赤ちゃんの成長に欠かせない粉ミルクも値上げの対象となっています。

スーパーの買い物客「毎日飲むものなので困りますね。節約できないところなので、他で節約して今までのものを使い続けたいと思います。この子は完全に粉ミルクで1週間1缶のペースで使っています。7%の値上げはかなり大きい。大人のビールを安いのにしたり1本減らしたりして夫に我慢してもらいます」

◆生産者「値上げしてもコスト吸収できない」
コロナ禍もあり近年、牛乳の消費量が減少しています。今回の値上げによって酪農家の経営はどこまで改善するのか?現在、約120頭の乳牛を飼育する福岡県嘉麻市の生産者に話を聞きました。

生産者「11月1日から、取引価格が10円上がり、小売り店頭価格は30円前後あがるけど、それでもコスト吸収できないという状況」

九州などで生乳を販売する生産者の団体は今年7月、乳業メーカーへの生乳の販売価格を11月から1キロあたり10円値上げすることを決めました。しかし、その後円安が一気に加速。牛のエサとなる飼料はほとんどを輸入に頼っているためかかる費用は夏場の状況とは比べものになりません。

生産者「生産コストは年初の頃は1割~2割上がって、夏くらいは3割、今は5割くらい上がってきている。大きな赤字幅が出ている」

◆子牛の買い取り価格下落で酪農家は・・・
地元の農家と契約し飼料用のトウモロコシを栽培してもらうなどコストを抑える努力を続けていますが、今の円安には追いつかないといいます。

生産者「試行錯誤してコストを落としていますが、円安のスピードに対応できないんです」

牧場では肉牛として売り出す子牛も飼育していますがエサ代の高騰によって需要や買い取り価格にも大きな影響が出ています。

生産者「乳牛と肉牛から生まれた交雑種は去年は30万円前後でした。今の買い取り価格は半値以下に落ちている。40、50代の今から酪農を担っていく人が先にやめている。応援もかねて1杯でも飲んでください。そこに尽きますね」

原材料の高騰や円安が止まる見通しも立たないことから、廃業を決断する人も少なくないということです。

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