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自転車が高い!ママチャリは1年で6000円値上がり、納期遅延も

自転車の値上がりが止まらない。小売物価統計によると、電動アシストなどの機能が充実したモデルが増えたこともあり20年前と比べると74%上昇。特にこの1年は物流費や円安などの影響で値動きが激しい。その余波は電動タイプにとどまらず、手頃な“ママチャリ”にも広がっている―。

もうママには買えない?ママチャリが手頃でなくなった日

福岡市内で15店舗を展開する自転車の専門店「KAITO」。最も手頃な26インチのいわゆる「ママチャリ」タイプが2万5800円で販売されていた。店によると5年前は1万5800円、去年は1万9800円で、特にこの1年で約6000円値上がりしたという。ママチャリの「2万円超え」に驚いたのは、娘の塾通いに使う自転車を求めて来店した家族連れだ。
母親「高い!自分の中では高いです。でもギアの切り替えとかいろいろついてるから、それくらいするのかなと」 父親「昔に比べたら高くなってるなぁ・・・。率直な感想」
総務省の小売物価統計調査によると、自転車の平均単価は電動アシストなどの機能が充実したこともあり20年前と比べると74%上昇した。物流費や円安などの影響だが、特にこの1年の急激な値上がりが目立つ。特段、機能が増えたわけでもないモデルを高値で販売するため“売る側”にとっても試練だ。
カイト干隈店・大仁田光マネジャー「めちゃめちゃつらいです。アフターフォローやメンテナンス次第で自転車も変わってくるので、そこを前面に出す接客をしています」
例年クリスマスシーズンは、自転車の需要が増える傾向にあり、納期が伸びることも懸念されている。マネジャーは「サイズだけでも早く決めてもらえれば」と呼びかける。

自転車x鉄道、加算は実質500円

その自転車をめぐっては、九州で鉄道内に自転車を持ち込む「サイクルトレイン」が活発化している。今年3月に西日本鉄道(西鉄)がサービスを始め、JR九州も11月19日に実証実験を始めた。

実験は、土日と祝日に筑前前原~唐津間(筑肥線)を3往復運行する列車が対象。利用者は、乗車券と自転車を固定するためのベルトの貸出料として1500円を支払う。ベルトは指定場所に返すと1000円が払い戻されるため、実質的な“自転車加算”は500円だ。
乗車券にワンコインたせば、自分好みにカスタマイズして使い慣れた“マイ自転車”を持ち込み、自走ではとても行けない場所でサイクリングを楽しめる。利用客に聞くと、思い思いのサイクリング計画を立てていた。
利用客「虹の松原で降りて、松浦川のボートの練習場に行って帰ります」 利用客「唐津まで行っておいしいものを食べてこようと思って」
JR九州佐賀鉄道事業部・河野和久運輸主任「自転車と電車という新しい形で、自転車でしか行けないような新しいスポットを見つけてもらい、沿線の利用者をどんどん増やしたいです」
「自転車x鉄道」の相乗効果は、新たな顧客の開拓にとどまらない。視野に入れるのは、沿線地域の活性化だった―。

渋滞に苛立つ観光地の住民、自転車が“特効薬”に?

福岡県屈指の観光地「糸島」。海岸線に沿ってビーチが点在し、おしゃれなカフェやレストランが並ぶ。ここの観光協会が行うレンタサイクル事業は常に活況だ。
北海道からの観光客「車を借りられなくて、それなら自転車で景色を見ながら回ってもいいかなと」 名古屋からの観光客「自転車の方が小回りが効いて気持ちがいいです。風が気持ちいい、それに尽きると思います」
24台ある自転車は平日でも午前中にはすべて貸し出し中になるという。この糸島のレンタサイクルが、JR九州が「サイクルトレイン」の実験を始めたきっかけの一つだった―。
糸島市観光協会・高田秀峰業務執行理事「道の狭い糸島にたくさんの観光客が来て地元の人たちもストレスを感じています。来られる観光客もストレスを感じるよりも、むしろ自転車を利用してもらい、お互いにストレスのない街をつくりたいのです」
鉄道が送客する「自転車客」は、観光地の渋滞解消にどこまで貢献できるのだろうか。

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