統一地方選の後半戦、すでに無投票で当選者が決まった自治体もある中、福岡県吉富町では、先日の県議選に加えて町長選と町議選も投票が行われず、「トリプル無投票」になりました。住民の意思を示す機会がないまま選挙が終わったことに、町では疑問を投げかける声もあります。
◆「九州一小さな町」でトリプル無投票
福岡県の東の端に位置する吉富町。面積が6平方キロに満たない「九州で一番小さな町」で、6400人あまりが暮らします。
RKB岩本大志「このように選挙ポスターは掲示されているんですが、この町では結局、住民が投票する機会はありませんでした」
18日に告示された町長選と町議選は、いずれも無投票で当選者が決まりました。統一地方選前半戦の県議選も合わせて「トリプル無投票」になったことに、有権者からはさまざまな声が聞かれました。
住民「自分たちの意見がうまく上に伝わっているのかなと、不安には感じます」「ずっと引き継いできているからね。安心じゃないですか。その方が。新しい人が入って変わるより」
◆当選した町議も…
町の選挙管理委員会によると、町長選と町議選がともに無投票になったのは28年ぶり。県議選も含めたトリプル無投票は、記録が残る1989年以降で初めてだということです。定員10人の町議選には新人も2人立候補しましたが、選挙戦で有権者に直接、公約を届ける機会はありませんでした。当選した町議の中にも、こうした状況に疑問を投げかける声があります。
吉富町議 山本定生さん「初めて出た方だって、自分が選ばれたかどうか分からないまま(議員に)なっているわけですから。これは良くないと思います」
町長選と町議選で用意された約1万2000枚の投票用紙も、使わないまますべて廃棄されることになりました。
吉富町選挙管理委員会 奥本仁志書記長「正直もったいないというところではあります。ここに有権者の一票の思いが書かれて投票されるのが、本来の姿なんだろうなと思いますけど」
◆無投票で決まる“デメリット”
2期目の当選を果たした花畑明町長も安堵する一方で、複雑な思いがあるといいます。
花畑明町長「心の奥は少し複雑でしたね。選挙する人間にとって本来、相手がいない方がそれはうれしいですよ。だけども、それだと町民の信頼がなかなかどこまであるのか」
政治学を専門とする西南学院大学の鵜飼健史教授は、無投票で当選が決まることのデメリットを指摘します。
西南学院大学 鵜飼健史教授「有権者としては選ぶ機会が無くなるということと、政治家としては選ばれる機会が無くなるということで、民主主義をめぐるキャッチボールが損なわれるというのが大きいかなと思う。無責任な政治がはびこる可能性がある」
福岡県では今回、吉富町の町長選と町議選のほかに、志免町長選と大木町議選も無投票になりました。候補者が思いを伝え、住民が意思を示す機会が失われる選挙の「空白」を生まないためにも、地方の首長や議員のなり手がもっと増えるような改革が必要とされています。
◆「九州一小さな町」でトリプル無投票
福岡県の東の端に位置する吉富町。面積が6平方キロに満たない「九州で一番小さな町」で、6400人あまりが暮らします。
RKB岩本大志「このように選挙ポスターは掲示されているんですが、この町では結局、住民が投票する機会はありませんでした」
18日に告示された町長選と町議選は、いずれも無投票で当選者が決まりました。統一地方選前半戦の県議選も合わせて「トリプル無投票」になったことに、有権者からはさまざまな声が聞かれました。
住民「自分たちの意見がうまく上に伝わっているのかなと、不安には感じます」「ずっと引き継いできているからね。安心じゃないですか。その方が。新しい人が入って変わるより」
◆当選した町議も…
町の選挙管理委員会によると、町長選と町議選がともに無投票になったのは28年ぶり。県議選も含めたトリプル無投票は、記録が残る1989年以降で初めてだということです。定員10人の町議選には新人も2人立候補しましたが、選挙戦で有権者に直接、公約を届ける機会はありませんでした。当選した町議の中にも、こうした状況に疑問を投げかける声があります。
吉富町議 山本定生さん「初めて出た方だって、自分が選ばれたかどうか分からないまま(議員に)なっているわけですから。これは良くないと思います」
町長選と町議選で用意された約1万2000枚の投票用紙も、使わないまますべて廃棄されることになりました。
吉富町選挙管理委員会 奥本仁志書記長「正直もったいないというところではあります。ここに有権者の一票の思いが書かれて投票されるのが、本来の姿なんだろうなと思いますけど」
◆無投票で決まる“デメリット”
2期目の当選を果たした花畑明町長も安堵する一方で、複雑な思いがあるといいます。
花畑明町長「心の奥は少し複雑でしたね。選挙する人間にとって本来、相手がいない方がそれはうれしいですよ。だけども、それだと町民の信頼がなかなかどこまであるのか」
政治学を専門とする西南学院大学の鵜飼健史教授は、無投票で当選が決まることのデメリットを指摘します。
西南学院大学 鵜飼健史教授「有権者としては選ぶ機会が無くなるということと、政治家としては選ばれる機会が無くなるということで、民主主義をめぐるキャッチボールが損なわれるというのが大きいかなと思う。無責任な政治がはびこる可能性がある」
福岡県では今回、吉富町の町長選と町議選のほかに、志免町長選と大木町議選も無投票になりました。候補者が思いを伝え、住民が意思を示す機会が失われる選挙の「空白」を生まないためにも、地方の首長や議員のなり手がもっと増えるような改革が必要とされています。
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