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「長かった…」二度の大火に見舞われた“北九州の台所” 最初の火災から1年 再起できない被災者も

「北九州の台所」旦過(たんが)市場の一帯を襲った2022年4月の火災から、19日で1年です。市場はにぎわいを取り戻しつつありますが、被災した人はまだ元の場所で営業を始めることができていません。


◆「長かった1年」
「いらっしゃい、マグロのぶつ切りがお買い得ですよ」

「北九州の台所」と呼ばれる北九州市小倉北区の旦過市場。きょうも多くの買い物客が訪れていました。

客「もう1年、長かったですね、活気づいてきてコロナも明けて、いいなあと思います、ぜひみんな来てもらいたいですよね」
店の人「もう忘れたいけどね……。前に戻ったかと言ったら、コロナもあったし、難しいですけどね。それでも何とか食いつなげています」

2022年4月の大規模火災から1年。約50店が加入する旦過市場商店街の黒瀬善裕会長はこう振り返りました。

「いつになったら営業できるだろうか、旦過市場がこのままなくなってしまうのではないか、という恐怖もありました」


◆まさかの大火「2回」
2022年4月19日未明、旦過市場に隣接する新旦過の木造飲食店から出た火は、瞬く間に旦過市場一帯を飲み込みました。市の消防局は出火の場所は特定したものの、原因については「不明」としています。

この火災で周辺の42店舗(約1900平方メートル)が被災しました。旦過市場の一帯では4か月後の8月にも大規模火災が発生し、45店舗(3300平方メートル)が焼損しています。

市のまとめによりますと、被災した87店舗から事務所などを除いた74店舗のうち、約7割の49店舗が営業再開、もしくは再開を決定。15店舗が廃業することを決めたということです


◆仮設市場は整備されたものの……
武内和久・北九州市長「仮設店舗の名前を『旦過青空市場』と決定いたしました」

北九州市は3月、焼損した区域に26区画の仮設店舗を整備しました。仮設店舗エリアの19日の様子です。

RKB浅上旺太郎「去年4月の火災から1年が経ちましたが、旦過青空市場ではまだ1店舗も営業することができていません」


◆2度目の大火で店舗を失って
仮設店舗に入居する坪田美智子さんです。旦過市場での営業再開が当初の予定より遅くなったといいます。

坪田美智子さん「ちょっと遅いですよね、今の時期いろいろ売りたかったんですけど。タケノコには力を入れていたので」

坪田さんが営む青果店「味の坪田」は60年以上にわたり、旦過市場で営業を続けてきました。2022年4月の大規模火災では直接の被害を免れたものの、8月の2度目の火災で店舗を失いました。

坪田美智子さん「言葉にならないです。これからどうして商売しようか、どうして生きていけばいいか、分からないですよね」

坪田さんは被災後、旦過市場から約1キロ離れた黄金市場で、店の営業を再開しました。農家から直接仕入れた新鮮な野菜、手作りの床漬けや、ゆずゴショウが名物です。

客「めっちゃ優しいんですよー。ゆずゴショウがめっちゃおいしいです」


◆仮設店舗で再起を目指す
4月4日に仮設店舗の契約を済ませた坪田さん。20日から内装の工事を始め、26日に旦過市場での営業を再開する予定です。仮設店舗での営業は、旦過市場の再開発で新たなビルが完成するまでの3年ほど。その間は、この仮設店舗が旦過の「味の坪田」となります。

坪田美智子さん「これから新しいお客さんも集客していきたいと思います。黄金市場のお客さんもこっちに来てもらいたい。そうしたら、少しはいいかな」

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