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「ありのままでいられる場所」を目指す“駄菓子屋”が国際交流の場に

福岡市にお菓子を買うだけでなく勉強や国際交流もできるユニークな店があります。駄菓子屋「エル・パライソ」、スペイン語で「楽園」という意味です。トー横キッズなど家庭や学校に居場所がない少年少女が社会問題化する中、店主は「子供にとって生きづらい時代、子供がありのままでいれる場所を継続することが私たちの使命」と話します。


◆利幅少なく経営難が続くも‘’変わらぬ思い”
店を営む久保田勝正さんと久香さん夫婦は、子供たちと顔を合わせることを楽しみにしています。日本茶の販売店を営んでいた18年前、勝正さんが店に駄菓子を置いてみたところ、子供たちが集まるようになったそうです。ただ、子供たちが気軽に買える値段の駄菓子は利益を出すことが難しく、光熱費などを払うと赤字になることも少なくありません。さらに新型コロナにより厳しい経営が続いたものの「子供たちの居場所を失いたくない」という強い思いは変わりませんでした。


◆学習スペースのある駄菓子屋
支援に乗り出したのは、パラグアイなどで子供の教育支援などを行うNPO法人「ミタイ・ミタクニャイ子ども基金」でした。休眠預金の助成金を活用して店を改装。去年5月5日の「こどもの日」に新たな駄菓子屋「エル・パライソ」として再スタートを切りました。

勝正さん「とんでもない数の子供たちが来てくれました、もうやめられないです」

生まれ変わった駄菓子屋は家のように靴を脱いで入るのがルールです。駄菓子売り場の隣には、テーブルや椅子を置き子供たちの学習スペースを設けました。不定期で学生ボランティアや留学生と交流するイベントも開きます。

ボランティア・馬場礼奈さん「楽しそうな場所があるなと興味をもちました。子供たちは賑やかで元気、逆にパワーをもらえます」


◆子供たちがベトナム人留学生と交流
オープンから1周年を迎えた5日、店では子供たちがベトナム人留学生と生春巻き作りを体験しました。さらにパラグアイ料理の試食会も開かれそれぞれの国について理解を深めました。

ミタイ・ミタクニャイ子ども基金・藤掛洋子理事長「日本国内で居場所があったらいいなと思っている子供がいることに気づいた。日本は少子高齢化を迎えている、子供たちにはパラグアイ、日本、海外とつながって多文化共生をはぐくむ力を養ってもらいたい」

勝正さんは13年前に脳出血で倒れ現在も右手にまひが残っています。それでも「子供たちの居場所を作りたい」という一心で店に立ち続けています。

久香さん「家でもなく学校でもなく、ほっとできる安心して過ごせる場所でありたい」
勝正さん「今、子供にとって生きづらい時代、子供がありのままでいれる場所を継続することが私たちの使命。病気であろうと何であろうと子供たちの元気のために、生涯続けるつもりでいます」

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